食欲を抑える効果・体重減少の効果が期待できます。
サノレックスは食欲を抑える効果や消費エネルギー増大作用などにより、痩せる効果が期待できる薬です。臨床試験では、有意な食欲抑制効果や体重減少があったと報告されています。
サノレックスは、厚生労働省が認可した食欲を抑える医薬品です。サノレックスは危険な薬だと聞き、不安な方もいるのではないでしょうか。
本記事では医師監修のもと、サノレックスの危険性やダイエット効果、副作用について解説します。肥満に悩み、サノレックスの使用を考えている方もいるでしょう。記事を読むことで、サノレックスの効果や危険性について理解できます。
目次
医療機関を受診し、医師によって処方されたサノレックスを使用する場合は、安全に使用できるでしょう。しかし、個人で輸入したものや、医療機関以外で入手したサノレックスを使用するのは大変危険です。
サノレックスは医療用医薬品のなかでも向精神薬に分類されており、他の医薬品と比べて依存性や薬物耐性が出やすい特徴があります。また、併用してはいけない薬やサノレックスを飲んではいけない病気がいくつか設定されています。
サノレックスは本来、医師の診察を受け、体調や経過に十分注意しながら使用するべき医薬品です。サノレックスを個人で輸入して使用すると、重大な副作用や体調変化に気がつけない可能性があります。
必ず医療機関で診察を受け、医師の指示に従って使用しましょう。
サノレックスは一般名で「マジンドール」といい、1992年に厚生労働省から食欲抑制剤として正式に認可を受けた医療用医薬品です。医療機関で医師の診察を受け、医師が必要と判断した場合に処方されます。
第3種向精神薬に分類される医薬品であり、処方日数制限があります。一度に処方できるのは14日までです。
サノレックスの保険適応は以下の通りです。
あらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度 肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)における食事療法 及び運動療法の補助
引用:サノレックス添付文書
あくまでも、高度肥満の場合に使用する薬であり、誰でも使用できるわけではないため注意しましょう。
サノレックスの個人輸入は可能ですが、おすすめできません。
サノレックスは、向精神薬に分類されており、医療用の向精神薬を医師から処方された本人が携帯して入国する場合を除き、個人が海外から輸入することは禁止されています。
国内で製造販売されている医薬品は、医薬品医療機器等法に基づいて品質や安全性について管理されています。しかし、国外で製造された医薬品は、どのような状況で製造されたか分からないため、有効性や安全性が国内のものと同じとは限りません。個人輸入した薬は、偽造されたものや劣化品である可能性もあります。
期待された効果が出なかったり、思わぬ健康被害が出たりすることが考えられます。個人輸入や代行業者からの購入は避けるようにしましょう。
サノレックスは視床下部にある食欲中枢に作用し、食欲を抑える効果や消化を遅らせたり、体が消費するエネルギーを促進したりする作用が認められています。
サノレックスのダイエット効果は、主に食欲抑制によるものです。サノレックスによって食欲が抑えられると、食事からの摂取エネルギーが減ります。食事からの摂取エネルギーが減ると消費エネルギーの方が大きくなるため、ダイエットにつながります。
メーカーが行った治療に関する試験では、
など、上記の試験が行われています。
食欲抑制効果を感じた人の割合は以下の表の通りです。
【サノレックスによる食欲抑制度の割合(試験終了後2週ごとの食事の程度・食事状況より判断)】
高度抑制 | 中等度抑制 | 軽度抑制 | |
---|---|---|---|
食欲抑制を感じた患者の割合 | 6.6% | 26.9% | 37.8% |
軽度抑制以上では、合わせて71.3%の人に食欲抑制が認められています。
また、カロリー摂取量は、観察期間3日間で1574±62kcalから1421±52kcalへと有意に減少したとされています。
【サノレックスによる体重減少度(2週ごとの体重曲線より判断)】
高度減少 | 中等度減少 | 軽度減少 | |
---|---|---|---|
体重減少度 | 15.7% | 31.4% | 32.4% |
体重減少効果は、軽度減少以上で全体の79.5%となります。平均体重を投与開始時と比較すると、74.5±0.6kgから、治療期間4週に 72.5±0.7kgへ減少、体重は8週目で開始時と比べて約 3.0kg、14週目では 約4.3kgの減少が認められています。
サノレックスを使用して食欲抑制効果が現れるまで時間は30~60分、効果の持続時間は8~15時間です。また、上記の試験結果から体重減少等のダイエット効果は、4週目以降でより顕著に現れます。
サノレックスの使用で起こりうる主な副作用は以下の通りです。
副作用の症状によって、継続できる場合もあれば、対処が必要な場合もあります。
調子が悪いからといってサノレックスは自分で調節してはいけません。副作用が出た場合は、早めに医師や薬剤師に相談しましょう。
それぞれの副作用について詳しく説明します。
頭痛やめまい、倦怠感(脱力感)はサノレックスの使用でよくみられる副作用です。0.1%〜5%未満の頻度で起こるとされています。めまいと頭痛に関しては、薬の承認時では5%以上の人にみられた副作用です。
しかし、個人差はありますが軽い症状である場合が多く、継続して使用される方がほとんどです。症状がひどい場合は我慢せず、早めに医師や薬剤師に相談しましょう。
口やのどの渇きは、5%以上の頻度でみられ、比較的起こりやすい副作用だといえます。副作用として軽度である場合が多く、サノレックスの使用を継続しても問題ないことが多いでしょう。口やのどの渇きは、サノレックスの成分が二次的に唾液や胃酸分泌を抑える作用を引き起こすためだと考えられています。
自身でできる対策として、うがいや飴を舐めるなどが効果的です。それでも口やのどのひどい渇きが気になる場合は、早めに医師や薬剤師に相談しましょう。
便秘は5%以上の頻度でみられる、比較的起こりやすい副作用のひとつです。症状がひどくない場合、様子を見ながら継続することも多いでしょう。
便秘は、交感神経の刺激や副交感神経の抑制作用、または食事量の減少によって起こると考えられています。手持ちの便秘薬の使用や新たに便秘薬を購入して服用したい場合は、自己判断せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
睡眠障害の具体的な症状として挙げられるのは、眠気や夜間覚醒、睡眠減少、不眠などです。これらの副作用がみられる頻度は0.1%〜5%未満です。睡眠減少や不眠など、睡眠障害の副作用はサノレックスの使用で交感神経優位となるためであるといわれています。しかし、反対に眠気や傾眠の報告、あるいは頻度として少ないですが悪夢や多夢の報告もありします。
睡眠障害が続いてつらい場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
精神依存や幻覚用異常行動、肺高血圧症、労作性呼吸困難、胸痛、失神などは重篤な副作用であり、注意が必要です。
サノレックスは化学構造上の特性として、依存を起こす可能性が指摘されています。発生頻度は不明ですが、サルやイヌに対する実験では精神依存や幻覚様異常行動が報告されています。
労作性呼吸困難や胸痛、失神が出た場合は、すぐに服用を中止し、受診して適切な処置を受けましょう。これらの症状は肺高血圧症の症状である可能性が高いです。
詳しい機序はわかっていませんが、予後が不良である例が多いため、十分に注意しましょう。
サノレックスの使い方は、以下の通りです。
サノレックスの使用は、できる限り最小有効量が望ましいとされています。投与期間はできる限り短期間とし、最長3ヵ月が限度です。また、1ヵ月以内に効果のみられない場合は治療を中止することとされています。
また、服用タイミングとして、夕方以降は避けるようにしてください。睡眠障害が副作用として報告されているためです。睡眠に影響がない日中に服用するようにしましょう。
サノレックスを使う際の注意点は、以下の通りです。
それぞれ詳しく説明します。
サノレックスの長期使用は、危険です。投与期間はできる限り短期間とし、最長で3ヵ月までと添付文書上で明記されています。また、1ヵ月以内に効果のみられない場合は治療を中止するようにしましょう。
サノレックスには、依存性や肺高血圧症などの重篤な副作用が発現する可能性があるため高度肥満症患者に対して食事療法及び運動療法の「補助薬」として用いること、海外では食欲抑制剤の長期使用により肺高血圧症の発症リスクが増加するとの報告や、食欲抑制剤の多くで数週間以内に薬物耐性が認められたとの報告もあります。
また、重篤な副作用である依存性や幻覚様異常行動のリスクも高まるため、長期間の使用は推奨されていません。
サノレックスには、飲み合わせに注意する薬がいくつかあります。
【併用禁忌】
【併用注意】
併用禁忌である、MAO阻害剤は、投与中、または投与中止後2週間はサノレックスを使用できません。
MAO阻害剤(セレギリン等)
症状 | 理由 |
---|---|
昇圧作用が著しく増強。 高血圧クリーゼが発症する可能性あり。 |
交感神経刺激作用を有するサノレックスが、MAO阻害剤の作用を増強すると考えられる。 |
高血圧クリーゼは、急激な血圧上昇による高血圧脳症、脳出血、高血圧性心疾患による左心室不全の症状を引き起こし、最悪の場合、死に至ことがあります。
併用注意の薬の場合、副作用が出現したり今まで使用していた薬の効きが悪くなったりします。
サノレックス以外の薬を服用している場合や、新しく服用する場合は、必ず医師や薬剤師に確認してから服用しましょう。
サノレックスの使用に注意が必要な人は以下の通りです。
高齢者は65歳未満の患者と比べ、副作用が出やすいことがわかっています。また、動物実験において、有効成分が乳汁中へ移行する報告があるため、授乳中の方は使用前に医師とよく相談しましょう。
上記に該当する場合、持病の悪化や、治療中の薬が効きにくくなる可能性があります。サノレックスの使用を検討する場合、主治医によく相談するようにしましょう。
サノレックスを使用できない人は、以下の通りです。
上記に該当する人は禁忌となり、絶対に使用してはいけません。持病が悪化したり、依存性などの副作用が強く出たりする可能性があります。
また、妊婦の投与も、動物実験で胎児毒性の報告があるため禁忌となっています。小児は、臨床試験を実施しておらず、安全性が確保できないため使用できません。
サノレックスの使用を検討している場合、まず専門の医療機関を受診して医師とよく相談しましょう。一般的な流れを説明します。
まず、診察や問診でサノレックスの禁忌に該当しないか、または薬の飲み合わせについて確認を行います。必要に応じて血液検査も行い、サノレックスの使用が問題ないか検討します。副作用症状の対応や重篤な副作用の早期発見のため、経過を十分に観察しながら治療を継続します。
また、高度肥満症でない場合は、保険は適用されず、自費診療となります。医療機関によって費用は異なりますが、1錠500円〜1,000円程度であることが多いようです。薬代だけでなく、診察代等がかかる可能性があるため、事前に医療機関に確認しておきましょう。
最後に、サノレックスについてのよくある質問に回答します。
食欲を抑える効果・体重減少の効果が期待できます。
サノレックスは食欲を抑える効果や消費エネルギー増大作用などにより、痩せる効果が期待できる薬です。臨床試験では、有意な食欲抑制効果や体重減少があったと報告されています。
高度肥満症の患者には保険適用となります。
高度肥満症は、肥満度が+70%以上またはBMIが35以上です。これに該当しない場合は、自費診療となります。
市販されていません。
サノレックスの有効成分であるマジンドールは、市販されていません。医療用医薬品でのみ販売されています。
睡眠への影響が懸念されます。
サノレックスには、睡眠障害の副作用が報告されています。夜に服用すると、眠れなくなったり、夜中に目が覚めてしまったりする可能性があります。
サノレックスは、睡眠に影響がない日中に服用するようにし、夕方以降は服用しないようにしましょう。
サノレックスは、厚生労働省に認可されている食欲抑制剤です。食欲の抑制だけでなく、食べものの消化吸収を遅らせたり、消費エネルギーを増やしたりする作用があります。
実際の臨床試験では、食欲抑制作用や体重減少が報告されているためダイエット効果が期待できます。ただし、精神依存や肺高血圧症などの重篤な副作用も報告されているため、必ず用量や使用期間を守って服用しましょう。個人輸入や自己判断での服用は、大変危険です。
この記事を読んでサノレックスの副作用やリスクについて理解を深め、専門の医師のもとで正しく使用しましょう。
UnMed Clinic Motomachi髙倉 一樹 先生
横浜市中区元町にあります「UnMed Clinic Motomachi 」院長の髙倉です。地元横浜でクリニックを開院しています。
今までに学んできた事、経験した事を最大限活かし、医学と科学をしっかり結び付けながら、患者さんに求められている医療を最大限表現したいと思います。そのために、今の時代の流れの中で、積極的に新しいものを取り入れながら、地元への医療貢献、さらにはここ横浜からグローバルな医療を皆様にお届け出来る様、精一杯努力する所存でおります。
現在、当院ではオンライン診療を立上げ、メディカルダイエット(肥満外来)、不眠症外来、コロナ後遺症外来を実施しております。全国の患者様に対応しておりますので、お気軽にホームページのオンラン診療予約からご予約ください。
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