最終更新日:2023.12.15 | 投稿日:2023.11.01

ウゴービの処方・発売はいつから?肥満症への効果や保険適用の条件を解説

ウゴービの処方・発売はいつから?肥満症への効果や保険適用の条件を解説

ウゴービは、肥満症を対象にした日本初のGLP-1受容体作動薬です。

本記事では医師監修のもと、

  • ウゴービの販売開始日はいつか
  • ウゴービの具体的な効果
  • ウゴービとほかの薬との違い

などを解説します。

この記事は、メディカルダイエットに興味がある方や、これからダイエットを始めたい方のための記事です。安心してダイエットするには正しい薬の知識も重要ですので、ぜひ最後までご覧ください。

肥満治療薬「ウゴービ」が2024年2月に日本で発売決定

ウゴービは、肥満症を適応として、日本で初めて厚生労働省に承認された「GLP-1受容体作動薬」です。有効成分は「セマグルチド」で、2023年3月27日に製造販売を承認されました。

本来、GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病に対する治療薬です。すい臓に作用してインスリン分泌を促進し、血糖値を上げるグルカゴンを抑制する効果があります。

GLP-1受容体作動薬には、ウゴービのほかに、「オゼンピック」「トリルシティ」などがあり、どれも2型糖尿病を効果・効能としています。

処方はいつから開始されるか

ウゴービは厚生労働省に承認後、薬価収載が見送られておりましたが、2024年2月22日に発売されることが決定しました。ウゴービが日本で発売されるのはアジア各国では初めてであり、世界では6ヶ国目となります。

薬価収載とは、新薬やジェネリック医薬品を、公定価格として厚生労働省が定めた薬の価格の一覧表である薬価基準に載せることです。この手続きにより、病院の薬は健康保険の適用になります。

ウゴービの効果

ウゴービには、具体的にどのような効果があるのでしょうか。今回は、メディカルダイエットに関連して下記の2点の効果についてお伝えします。

  • 体重減少効果
  • 血糖減少効果

なお、ウゴービの効果は、日本を含む国際共同臨床開発プログラム「STEP」に基づいています。

ウゴービの体重減少効果は下記のとおりです。

ウゴービの体重減少効果

ウゴービ
1.7mg群
ウゴービ
2.4mg群
プラセボ

ベースラインの
体重(kg)

86.1kg±11.9kg
(101例)
86.9kg±16.5kg
(199例)
90.2kg±15.1kg
(101例)

投与68週時の
体重

77.8kg±13.9kg
(98例)
5.1kg±17.0kg
(193例)
88.6kg±15.5kg
(100例)

投与68週時までの
体重変化率

−9.9%±7.8%
(98例)
−13.4%±8.6%
(193例)
−1.9%±5.9%
(100例)

※「プラセボ」とは、有効成分の入っていない「偽薬」を指します。思い込みによる検査データの変化を検証するためのものです。

ウゴービを投与した患者では、約10kg前後の体重減少が見られています。体重の変化率は−9.9%〜−13.4%となっています。このデータから一定の体重減少効果があることがわかります。

また、ウゴービの血糖減少効果は下記のとおりです。

ウゴービのHbA1c、空腹時血糖の減少量

ウゴービ1.7mg群 ウゴービ2.4mg群 プラセボ

HbA1c

ベースライン
(%)

6.4±1.1
(101例)
6.4±1.2
(199例)
6.4±1.1
(101例)

投与68週時までの変化量

−0.9±0.8
(98例)
−1.0±1.0
(193例)
0.0±0.8
(100例)

空腹時血糖値

ベースライン(mg/dl)

111.7±26.2
(101例)
111.2±27.2
(199例)
112.7±29.5
(100例)

投与68週時までの変化量

−18.3±21.9
(97例)
−19.3±22.6
(192例)
1.7±26.1
(98例)

「HbA1c」は、糖尿病を評価するための重要な値です。国際基準として、6.5%以上で糖尿病と診断されます。

試験では2型糖尿病を有している患者を対象としているため、投与前のベースラインが6.4%と、一般的な基準値より高くなっています。

ウゴービの投与後のHbA1cの平均減少率は−0.9%〜−1.0%です。また、空腹時血糖値はベースラインと比較して、−18.3mg/dl〜−19.3mg/dl減少しているのがわかります。

オゼンピックとウゴービの違い

オゼンピックは、2型糖尿病の治療薬です。オゼンピックの有効成分は、ウゴービと同じセマグルチドです。どちらもGLP-1受容体作動薬であり、すい臓に作用してインスリン分泌を促して血糖を下げる薬剤であり効果の違いはありません。

しかし、適応疾患としてオゼンピックは「2型糖尿病」であるのに対して、ウゴービは「肥満症」を対象としている点が異なります。

また、その他の違いは最大投与量です。オゼンピックの最大投与量が1.0mgなのに対して、ウゴービは最大2.4mgとなっています。

実際の体重減少効果の比較は下記です。

ベースラインからの体重減少量(kg)

オゼンピック0.5mg群
(投与30週までの変化量)
−1.0±0.43kg
オゼンピック1.0mg群
(投与30週までの変化量)
−4.5±0.41
ウゴービ1.7mg群
(投与68週までの変化量)
−8.3±13.9
ウゴービ2.4mg群
(投与68週までの変化量)
−11.8±8.6

ウゴービの方が、体重減少量は上回っています。なお、投与期間などの条件が異なるため、一概にウゴービの方が痩せるとは言い切れないので注意してください。

マンジャロとウゴービの違い

マンジャロはチルゼパチドを主成分とする2型糖尿病治療薬です。「GIP」「GLP-1」と呼ばれるホルモンを通してすい臓に働きかけてインスリン分泌を促して血糖値を低下させます。

下記は、ウゴービとマンジャロを投与した時の体重変化量の比較です。

ベースラインからの体重減少量(kg)

マンジャロ5mg群
(投与52週までの体重変化量)
−5.3±2.26
マンジャロ10mg群
(投与52週までの体重変化量)
−8.6±1.91
マンジャロ15mg群
(投与52週までの体重変化量)
−8.8±2.07
ウゴービ1.7mg群
(投与68週までの体重変化量)
−8.3±13.9
ウゴービ2.4mg群
(投与68週までの体重変化量)
−11.8±8.6

なお、このデータは、マンジャロとウゴービで投与期間や対象者が異なります。必ずしもウゴービの方が体重減少効果に長けているとは言えません。

リベルサスとウゴービの違い

リベルサスは、ウゴービと同様に「セマグルチド」を主成分とした2型糖尿病治療薬です。リベルサスは1日1回起床後直ぐに内服する経口投与薬であり、3mg、7mg、14mgの規格があります。対してウゴービは、週に1回皮下注射する注射薬であるため、投与方法が全く異なります。

リベルサスと、ウゴービの体重変化量をまとめた表は下記です。

ベースラインからの体重減少量(kg)

リベルサス3mg群
(投与52週までの体重変化量)
0.0±2.4
リベルサス7mg群
(投与52週までの体重変化量)
−0.8±2.1
リベルサス14mg群
(投与52週までの体重変化量)
−2.9±3.9
ウゴービ1.7mg群
(投与68週までの体重変化量)
−8.3±13.9
ウゴービ2.4mg群
(投与68週までの体重変化量)
−11.8±8.6

リベルサスに比べて、ウゴービの方が体重減少している印象ですが、こちらも個人差があるため必ずしもウゴービの体重減少効果が長けているわけではないので注意してください。

ウゴービを処方できる人

ウゴービは、誰にでも処方されるわけではありません。

ウゴービが処方されるのは下記の条件を満たした「肥満症」の方に限られます。

高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。

  • BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する(※)
  • BMIが35kg/m2以上

引用:ノボノルディスクファーマ株式会社|ウゴービ皮下注

なお、「肥満に関連する健康障害」と、は下記を指します。

肥満に関連する健康障害

  • 耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)
  • 脂質異常症
  • 高血圧
  • 高尿酸血症・痛風
  • 冠動脈疾患
  • 脳梗塞・一過性脳虚血発作
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患
  • 月経異常・女性不妊
  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
  • 運動器疾患(変形性関節症:膝・股関節・手指関、変形性脊椎症)
  • 肥満関連腎臓病

ウゴービの処方は、これらの診断を医師に受ける必要があります。

ウゴービが保険適用となる体重のライン

ウゴービ処方の条件に「BMI」が基準となっています。そもそも、BMIとは[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される肥満度を表す指標です。

日本肥満学会の基準では、18.5未満が「低体重(やせ)」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」で、肥満はその度合いによってさらに「肥満1」から「肥満4」に分類されます。

ウゴービの処方対象の基準となる「BMI:27」と「BMI:35」に該当する身長×体重を下記にまとめました。自分があてはまるかをご確認ください。

BMI:27 BMI:35
150㎝ 60.7㎏ 78.7㎏
155㎝ 64.8㎏ 84.1㎏
160㎝ 69.1㎏ 89.6㎏
165㎝ 73.5㎏ 95.2㎏
170㎝ 78.0㎏ 101.1㎏
175㎝ 82.6㎏ 107.2㎏

ウゴービに関するよくある質問

最後にウゴービに関してよくある質問にお答えします。それぞれ見ていきましょう。

ウゴービの値段は?

ウゴービの値段(公認価格の薬価)は、量によって5段階が設定されています。

ウゴービの薬価は、量に応じて以下の価格設定がされています。

  • 0.25mg:1,876円
  • 0.5mg:3,201円
  • 1.0mg:5,912円
  • 1.7mg:7,903円
  • 2.4mg:10,740円

ウゴービに副作用はある?

ウゴービには副作用があります。

重大な副作用は、下記の通りです。

  • 低血糖症状
  • 急性膵炎
  • 胆嚢炎、胆管炎、黄疸

嘔気をともなう急激な腹痛や背部痛は急性膵炎の可能性があります。また、胆嚢炎、胆管炎でも腹部症状や、黄疸と呼ばれる肌や眼球が黄色くなる症状が見られるケースもあります。これらの場合は、すぐに使用を中止して医師に相談しましょう。

低血糖症状は、

  • 脱力感・倦怠感
  • 高度の空腹感
  • 冷汗
  • 顔面蒼白
  • 動悸
  • 振戦(ふるえ)
  • 頭痛
  • めまい
  • 嘔気(吐きそうな不快感)
  • 視覚異常

などです。

もし、低血糖症状が起こった場合は、ブドウ糖10g、もしくは砂糖20g、またはそれに同等の当分を含んだ飲料水を摂取します。

どこで処方してもらえる?

ウゴービは販売日未定の状況です。

ウゴービは販売日未定の状況なので、現時点では明言できません。

保険適用となり販売が開始された場合、肥満治療を行うクリニックや病院機関などで処方されることが予想できます。

まとめ

本記事は、ウゴービについて下記を解説しました。

  • ウゴービの処方開始日
  • ウゴービの効果
  • ウゴービと他の薬の違い
  • ウゴービの処方を受けるための条件

ウゴービは厚生労働省に製造販売を承認されていますが、詳細な販売日は未定です。販売後は国内初の肥満症を対象とした「GLP-1受容体作動薬」として、広まっていくことが期待されています。

副作用や、使用上の注意点などもありますので、使用については処方を受けた医療機関の医師の指示に従いながら正しく使用してください。

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こちらの記事の監修医師

髙倉 一樹

UnMed Clinic Motomachi髙倉 一樹 先生

横浜市中区元町にあります「UnMed Clinic Motomachi 」院長の髙倉です。地元横浜でクリニックを開院しています。

今までに学んできた事、経験した事を最大限活かし、医学と科学をしっかり結び付けながら、患者さんに求められている医療を最大限表現したいと思います。そのために、今の時代の流れの中で、積極的に新しいものを取り入れながら、地元への医療貢献、さらにはここ横浜からグローバルな医療を皆様にお届け出来る様、精一杯努力する所存でおります。

現在、当院ではオンライン診療を立上げ、メディカルダイエット(肥満外来)、不眠症外来、コロナ後遺症外来を実施しております。全国の患者様に対応しておりますので、お気軽にホームページのオンラン診療予約からご予約ください。

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