最終更新日:2023.11.03 | 投稿日:2023.11.01

ジャディアンスとはどのような薬?効果や使い方、副作用をわかりやすく解説

ジャディアンスとはどのような薬?効果や使い方、副作用をわかりやすく解説

「ジャディアンスってどんな薬?」
「ジャディアンスにダイエット効果はあるの?」

このように悩んでいる方もいるでしょう。

ジャディアンスは、2型糖尿病や慢性心不全の方に使用する薬です。血糖値を下げる効果だけでなくダイエット効果もあるといわれています。

本記事では医師監修のもと、ジャディアンスの効果や使い方、副作用を解説します。ジャディアンスの使用に不安がある方やダイエット目的での使用を検討している方は、ご覧ください。

ジャディアンスとはどのような薬?

ジャディアンスは、SLGT2阻害薬のひとつであり、2型糖尿病や慢性心不全の標準的な治療を受けている慢性心不全に使用される薬です。2つの効果が期待できます。

  • 血糖値を下げる
  • 心不全を改善する

SLGT2阻害薬とは、腎臓でブドウ糖の再吸収を阻害する作用があります。

ブドウ糖は、尿とともに身体から排出されます。つまり、食事などから摂取した過剰な糖分を尿と一緒に出すため、その結果血糖値が下がるのです。

また、ジャディアンスに期待できるのは、心不全を改善する効果です。ナトリウムの排泄が増えると、減量や血圧の低下に加え、尿酸や脂肪量の減少につながります。

そのほかにも、ジャディアンスにはさまざまな作用があるため、心不全を改善する効果が期待できます。

ジャディアンスのダイエット効果

ジャディアンスは、ダイエット効果もあるといわれています。なぜなら、ジャディアンスには、過剰な糖分を排泄する作用と減量の作用があるためです。

具体的には、使用開始1年で平均3.07㎏減量したとの報告もあります。ほかのSLGT2阻害薬でも、使用開始1年で2〜3kgの減量が期待できます。

ジャディアンスの使用で、ダイエット効果も期待できるといえるでしょう。

ジャディアンスの使用で起こりうる副作用

次に、ジャディアンスの使用で起こりうる副作用を解説します。

  • 口やのどの渇き
  • 脱水
  • 低血糖
  • 頻尿・多尿
  • 血圧低下
  • 膀胱炎・尿路感染症

ジャディアンスを使用した15.1%に副作用が出現したとの報告があります。また、なかには重篤な副作用も含まれています。特に、高齢者の方や体調が優れないとき、脱水になりやすいときなどでは、より重い副作用が出現する恐れがあるため、注意してください。

そのため、気になる症状がある方は、かかりつけ医や医療機関を受診しましょう。

口やのどの渇き

ジャディアンスを使用した方の1.6%に、口やのどの渇きが出現します。

尿に糖分が多く含まれると、尿量が増えます。そのため、口やのどの渇きが出るのです。

ジャディアンスの使用を始めたばかりの頃は、のどが渇く前に水分をとりましょう。日常生活でこまめに水分をとりつつ、暑いときには早めの水分摂取が欠かせません。

ジャディアンスの使用を継続しているときは、のどが渇いたときの水分補給が大切です。

脱水

ジャディアンスを使用した方の0.1%に脱水が出現します。

ジャディアンス使用により尿量が増えるため、脱水になる可能性があるのです。

【脱水の主な症状】

  • のどが渇
  • 身体のだるさ
  • めまい
  • 尿量が少なくなる など

脱水を予防するためには、こまめな水分摂取が欠かせません。自己判断で水分摂取を中止しないようにしましょう。脱水の症状が認められた場合は、使用中止を検討する必要があります。そのため、かかりつけ医や医療機関を受診しましょう。

低血糖

ジャディアンスを使用した方の2.3%に低血糖が出現します。

ジャディアンスは、インスリンの分泌と直接関係しません。そのため、ジャディアンスだけの使用であれば、糖尿病治療薬のなかでも低血糖になる可能性は低いといわれています。

【低血糖の主な症状】

  • 発汗
  • 動悸
  • めまい
  • 手や指のふるえ
  • 生あくび
  • けいれん
  • 昏睡 など/li>

ブドウ糖をとったり、砂糖や糖質を含むジュースを飲んだりしても改善しない場合は、すぐにかかりつけ医や医療機関を受診しましょう。

頻尿・多尿

ジャディアンスを使用した方の3.8%に頻尿や多尿が出現します。副作用の中で最も高い割合です。

  • 頻尿:尿が近い、回数が多い状態
  • 多尿:1日の尿量が著しく増えた状態

ジャディアンス使用開始2~3日目で最も尿量が増え、1週間後にはもとに戻るといわれています。

心不全治療中の方は、1日の水分量が決められている場合もあります。そのため、一度かかりつけ医に1日の水分摂取量を確認しましょう。

血圧低下

ジャディアンスを使用した方の0.1%に血圧低下が出現します。尿量が増え、体重が減少した結果、血圧が低下するのです。

【血圧低下の主な症状】

  • 立ちくらみ
  • めまい
  • ふらつき
  • 肩こり
  • 気分不良 など

血圧低下が高度であれば、失神発作をきたす恐れもあるため注意してください。すぐにかかりつけ医や医療機関を受診しましょう。

膀胱炎・尿路感染

ジャディアンスを使用した方の0.7%に膀胱炎や尿路感染が出現します。

膀胱炎と尿路感染のいずれも、尿道口(尿が出る出口)から細菌が入り感染を起こします。尿道(尿の通り道)が短い女性に多いのが特徴です。

【膀胱炎尿路感染の主な症状】

  • トイレが近くなる
  • 排尿時の痛み
  • 残尿感(尿が残った感じ)など

膀胱炎や尿路感染が誘因となり、敗血症性ショックなどの危険な状態になる恐れがあります。特に熱感や痛みを感じる場合、皮膚が黒く変化した場合はすぐに受診しましょう。

ジャディアンスの使い方

ジャディアンスは2種類あります。

  • 1錠10㎎
  • 1錠25㎎

2型糖尿病の方には、1日1回朝10㎎から開始します。効果が不十分であれば、1日1回朝25㎎に増やしますが、慎重に経過を見守らなければなりません。

慢性心不全の方も同様に、1日1回朝10㎎から開始します。しかし、10㎎を超える場合の有効性や安全性は確認されていません。そのため、慢性心不全の方にジャディアンス10㎎以上は、使用しないほうがいいでしょう。

また、2型糖尿病や慢性心不全、いずれの場合でもジャディアンスの使用は朝1回が推奨されています。

その理由は、朝にジャディアンスを使用した場合「朝食後、昼食後、夕食後のいずれの場合でも高血糖が改善した」との結果が調査で明らかとなったためです。さらに、就寝中の血糖値の上昇も認めませんでした。

ジャディアンスは朝使用すると、24時間にわたって血糖値をコントロールできる可能性があります。

ジャディアンスを使う際の注意点

ここでは、ジャディアンスを使用する際の注意点を解説します。

【ジャディアンスの使用に注意が必要な人】

  • 低血糖を起こす恐れがある
  • 脱水を起こしやすい
  • 尿路感染や性器感染がある
  • 腎臓の機能が低下している

副作用等のリスクが高まることから、これらに当てはまる方は注意してください。

また、妊婦や授乳中の方は、胎児や乳児の腎臓などへの影響が示唆されています。小児の場合では、臨床試験を実施していないため、安全性は明らかではありません。

さらに、一般的に高齢者は、のどの渇きなど脱水の症状に気づきにくく、症状が悪化する恐れがあるため、十分に注意してください。

【ジャディアンスを使用できない人】

  • ジャディアンスを使用しアレルギー反応が出た
  • 重症ケトーシスや糖尿病昏睡また昏睡になりかけた
  • 重症感染症や手術前後、重篤な外傷がある

危険な状態になる等のリスクから、これらに当てはまる方は、ジャディアンスを使用できません。

重症ケトーシスや糖尿病昏睡、重症感染症の方などは、治療しなければ最悪の場合死亡することがあります。ジャディアンスは効果が現れるまで時間がかかるため、インスリン注射で可能な限り早く血糖値を下げることが大切です。

また、1型糖尿病の方は、重症ケトーシスになる恐れがあるため使用できません。

ジャディアンスの使用を始めるには

ジャディアンスの使用を始めるためには、まずは医療機関の受診が必要です。医師の診察を受け、以下の診断を受けたうえで、ジャディアンスの適用があると医師が判断したら使用開始となります。

  • 2型糖尿病
  • 慢性心不全(慢性心不全の治療を受けている)

その後、定期的に受診し、副作用の有無など検査で確認します。

ジャディアンスの費用は、10gmは1錠188.9円、25㎎は1錠322.6円です。ほかに、診察代や検査代などがかかります。

ジャディアンスに関するよくある質問

最後に、ジャディアンスに関するよくある質問に回答します。

ジャディアンスは保険適用される?

治療目的の場合のみ保険適用となります。

ジャディアンスは、保険適用されます。ただし、2型糖尿病や慢性心不全に対する治療目的であれば保険適用ですが、ダイエット目的での使用では保険適応外となります。

ダイエット目的で使用する場合は、医療機関により費用が異なるため、事前に確認しましょう。

ジャディアンスは痩せる?

ジャディアンスを使用すると痩せます。

ジャディアンスの作用に糖分を排泄する作用と減量の作用があるため、ジャディアンスを使用すると痩せます。ある調査によると、1年間で平均3㎏程度減量したという結果もあります。

まとめ

ジャディアンスは、SLGT2阻害薬のひとつで、2型糖尿病や慢性心不全の標準的な治療を受けている慢性心不全に使用される薬です。

血糖値が下がる効果や心不全を改善する効果が期待できます。しかし、さまざまな副作用があるため、使用には十分注意してください。

そのため、症状に悩んでいる方や「何か様子がおかしいな」と感じるサインがある方は、かかりつけ医や医療機関を受診しましょう。

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こちらの記事の監修医師

藤原 信治

NOBUヘルシーライフ内科クリニック藤原 信治 先生

東京都板橋区にあります『NOBUヘルシーライフ内科クリニック』を運営している院長の藤原信治と申します。

当クリニックは一般保険診療としては糖尿病・高血圧症・脂質異常症などの生活習慣病や腎臓病の診療に強みがあるクリニックですが、美容内科として医療ダイエット外来を中心とする肥満症治療(メディカルダイエット)を行っています。

肥満症は外見上の問題だけでなく、上記の生活習慣病が発生する原因にもなる為、予防医療の一環として当クリニックは美容内科診療にも力を入れています。

具体的には、安全性と有効性が証明されている処方薬で体脂肪と体重を減少させたり、脂肪冷却ダイエット装置(当クリニックではクールテックディファインという既存の他製品より優れた脂肪冷却性能を有する機器を採用)を用いて冷却した皮下脂肪を物理的に消失させる施術を行っています。

皆さまのかかりつけ医として、『親しみやすく分かりやすい診察』を心がけ、安心して受診していただけるクリニックを目指しています。

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  • 髙倉 一樹
  • UnMed Clinic Motomachi 髙倉 一樹 先生
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