カナグルにダイエット効果はある?痩せると言われる理由や飲み方を解説
- UnMed Clinic Motomachi 髙倉 一樹 先生
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ルセフィは2型糖尿病治療薬で、体内の余分な糖を尿中に排出する作用をもつことから、最近ではダイエット目的で使用されるケースも増えています。
「薬の力で痩せられるなら試してみたい」と思いつつも、本当にダイエット効果があるのかや副作用について不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では医師監修のもと、ルセフィの効果や副作用、入手方法などについて解説しています。ルセフィについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ルセフィ(一般名:ルセオグリフロジン)は2型糖尿病の治療薬で、「SGLT2阻害薬」という種類の薬に分類されます。
2型糖尿病とは、「インスリン」と呼ばれるホルモンの働きが悪くなることで、血糖値が高い状態が続く病気のことです。「SGLT2」は糖を運ぶタンパク質のひとつで、腎臓における糖の再吸収に関わっています。
ルセフィは、このSGLT2の働きを抑制することで糖の再吸収を抑え、体内の余分な糖を尿中に排泄させます。
その結果、上がりすぎた血糖値が下がるという仕組みです。
ルセフィは2型糖尿病の治療薬ですが、過剰な糖を尿中に排泄する作用をもつことから、ダイエット目的で適用外使用される場合があります。
ルセフィを服用すれば、食事から摂取した糖が尿と一緒に排出されるため、実質的に糖質制限をしているような状態と同じだといえるでしょう。そのため、食事を極端に減らさなくても体重減少効果が期待できます。
ルセフィを1日5mg服用した場合、尿中に排泄される糖の量は1日約400kcal分です(※1)。
1ヵ月あたりに換算すると、約12,000kcalに相当する糖が排出されます。体重を1kg減らすためには約7,000kcalを消費する必要があるので、1か月で2kg弱の減量効果が期待できるといえるでしょう。
※1:1-1-3 考察および小括|SGLT2 阻害薬ルセオグリフロジンの尿糖排泄作用に着目した 2 型糖尿病を対象とした臨床開発研究-日本人肥満 2 型糖尿病への有用性に関する検討-|坂井 荘一(2017)
ルセフィの使用で起こりうる副作用には、主に次のようなものがあります。
ルセフィを服用すると、尿量が増えることで体内の水分量が減るため、口やのどの渇きといった脱水症状を引き起こす場合があります。
また、ルセフィの作用によって尿中の糖が増えると、膀胱炎や尿路感染、性器感染症などのリスクの上昇にもつながります。気になる症状が出た場合や、症状が長期間治まらないような場合は、早めにかかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。
ルセフィの服用によって尿中に糖が排出されると、浸透圧の関係で水分の排泄も促され、口やのどの渇きが気になる場合があります(脱水状態)。
脱水状態になると、ほかにも立ちくらみやめまい、脱力感などの症状が出る場合もあるので注意が必要です。
口の乾きの副作用が生じるリスクは0.1%と低いですが(※2)、服用初期は水分をいつもより多く摂るように心がけることが大切です。
ただし、心臓病や腎臓病などの治療において水分摂取を制限されている場合は、担当医師の指示に従いましょう。
ルセフィを服用すると、尿中に糖と一緒に水分の排出も促されるため、便の水分が不足して便秘になりやすいとされています。
便秘の副作用の頻度は1~3%未満ですが(※2)、気になる症状がある場合や、長期間改善しない場合などは早めに医師に相談しましょう。
ルセフィを服用すると、水分の排出が促されることで、多尿や頻尿の副作用が生じる場合があります。
頻尿になる頻度は1~3%未満ではあるものの(※2)、場合によっては脱水につながるため、こまめな水分補給を心がけましょう。
ルセフィは尿中に糖を排出させる薬なので、副作用として低血糖の症状が出ることがあります。
ルセフィのみの使用では、低血糖が生じる頻度は1.0%と低いですが(※2)、ほかの糖尿病治療薬と併用している場合はリスクが高まるため注意が必要です。
低血糖になると、主に次のような症状があらわれます。
状態が悪化すると、最終的にはけいれんや昏睡状態におちいることもあります。気分の悪さや手足の震えなどの初期症状がみられた場合は、すみやかに糖質を含む食品を摂りましょう。
糖尿病治療薬のひとつである「α-グルコシダーゼ阻害薬」と併用している場合は、糖のなかでも吸収の速い「ブドウ糖」を摂取する必要があります。
糖分を摂取しても症状の改善がみられない場合は、医師や薬剤師にすみやかに連絡しましょう。
ルセフィを服用すると、尿中の糖が増えることで、膀胱炎や尿路感染が生じることがあります。糖は雑菌のエサになるため、尿中の糖が増えると、膀胱や尿路に感染が起こりやすくなるのです。
とくに女性の場合は、尿路が短いことで膀胱炎や尿路感染を起こしやすいので注意しましょう。
尿路感染が起こる頻度は1%未満とまれですが(※2)、感染症が悪化すると「腎盂腎炎(じんうじんえん)」に発展する可能性もあります。腎盂腎炎になると、細菌が血液中に侵入することで、敗血症と呼ばれる深刻な状態になる場合もあります。
ルセフィの服用中に排尿痛や頻尿、腰の痛みなどの症状が見られたら、放置せずに医師や薬剤師に相談しましょう。尿路感染を予防するためには、水を多めに飲み、尿意を我慢しないことが大切です。
頻度としては01%未満とまれですが(※2)、副作用としてカンジダやクラミジアなどの性器感染症があらわれる場合があります。
性器感染症の主な症状は、陰部の痛みや腫れ、発熱、かゆみなどです。
症状があるにもかかわらず放置していると、外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)といった重篤な病気に発展することもあります。
気になる症状がある場合は、医療機関に相談して適切な処置をおこないましょう。
通常、1日1回2.5mgを朝食前または朝食後に服用します(※3)。なお、効果が不十分な場合は、経過を十分に観察しながら1日量として5mgまで増量可能です。
ルセフィを飲むと尿量の増加や頻尿がみられる場合があるため、睡眠をさまたげられないように、夜ではなく朝の服用が推奨されています。飲み忘れた場合は、気がついたときに、できるだけ早く飲み忘れた分(1回分)を飲みましょう。
ただし、次に飲むタイミングが近い場合は、飲み忘れた分をとばして次の時間(翌日)に1回分を飲んでください。副作用のリスクを減らすためにも、2回分を一度に飲むことはやめましょう。
ルセフィ2.5mgには、持ち運びやすさや飲みやすさを高めた「口腔内崩壊フィルム(ODフィルム)製剤」も存在します。ODフィルム製剤は薄いシート状になっているため持ち運びやすく、唾液の水分により速やかに溶けるため、水なしでも服用可能です。
外でも服用しやすいので、薬の服用を忘れがちな方は便利なODフィルム製剤を選ぶ方法もあります。
ルセフィは市販薬としては販売されていないため、入手するためには医療機関の受診が必要です。基本的に、2型糖尿病の治療のためにルセフィを処方された場合は保険適用されます。
しかし、ダイエット目的で使用する場合は保険適用外なので、費用が高額になる傾向があります。また、適用外使用では、重大な副作用が生じた際の「副作用救済制度」の対象外にもなるので注意しましょう。
ここからは、ルセフィの使用に注意が必要な方の特徴と、ルセフィを使用できない方の特徴について解説します。
飢餓状態であったり、激しい筋肉運動していたりすると、ルセフィを使用した際に低血糖を引き起こすリスクが高まります。ほかの糖尿病治療薬を併用している方でも、同様に低血糖のリスクがあるので注意が必要です。
尿路感染がある方は、ルセフィの作用によって症状を悪化させる恐れがあります。
また、ルセフィの利尿作用によって脱水を引き起こす可能性もあるので、高齢者や利尿剤を服用している方での使用についてはとくに注意しましょう。
ここからは、ルセフィを使用できない方(禁忌)の特徴を紹介します。
重症ケトーシスや、糖尿病性昏睡といった重篤な状態にある方は、輸液やインスリンの投与によってすみやかに高血糖状態を改善する必要があります。そのため、ルセフィの投与は適していません。
重症感染症にかかっていたり手術前後であったりする場合は、ルセフィの投与ではなく、インスリン注射による血糖管理が望ましいでしょう。
ルセフィの使用で過去にアレルギー反応が出た方は使用できないので、問診時にはアレルギー歴について必ず医療機関に伝えるようにしましょう。
上記のような方がルセフィを使用すると、低血糖で昏睡状態におちいったり、アレルギー反応でショック状態になったりする可能性もあります。
最悪の場合は死に至る可能性もあるので、使用の注意事項は必ず守りましょう。
※4:2. 投与前の注意事項|ルセフィ錠を適性にご使用いただくために|大正製薬株式会社
※5:2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)|ルセフィ錠|添付文書
ルセフィは医療用医薬品なので、使用するには医療機関において医師の処方を受ける必要があります。
ネット通販で個人輸入したものが売られていることもありますが、正規品でない可能性もあるため購入は控えたほうが無難でしょう。
前述したとおり、ルセフィには服用に注意が必要な方や、併用できない薬もあるため、医療機関において医師からの説明を受けることをおすすめします。
ダイエット目的でルセフィを使用したい場合は、医療ダイエットを実施しているクリニックに行ったり、ネット上のオンライン診療を利用したりする方法もあります。オンライン診療では、診察から薬の処方までネット上で完結することが多いため、忙しい方でも受診しやすいでしょう。
当記事を監修しているNOBUヘルシーライフ内科クリニックでは、対面での医療ダイエット外来を行っております。
オンライン診療でルセフィ等のSGLT-2阻害薬やGLP-1処方対応を行っている医療機関が世の中には存在しますが、SGLT-2阻害薬およびGLP-1処方の妥当性も確認しないまま儲け主義で処方しているいい加減なクリニックが多いのが現状です。副作用の出現の見落としなど患者さんの健康を守るという観点において安全上の問題でリスクが高いことから当クリニックではオンライン診療でのSGLT-2阻害薬およびGLP-1処方は行っていません。
またルセフィ等のSGLT-2阻害薬やGLP-1は糖尿病の治療薬ではありますが、美容クリニックを中心に糖尿病どころか内科の診療経験もない皮膚科形成外科などの医師が処方を行っている医療機関が目立つため注意が必要です。
ホームページで所属医師の経歴を見れば医師の専門性の確認が可能です。
ルセフィ等のSGLT-2阻害薬やGLP-1を使用するダイエットは肥満症の治療という目的で行う医薬品を用いる医療行為であり、副作用など健康上のリスクがあり得ます。なので糖尿病や内科の診療経験が豊富な医療機関で処方してもらうのが良いでしょう。
※なお、当クリニックにおける医療ダイエット外来では、SGLT-2阻害薬の中で最も体重減少効果が高い『カナグル』という薬剤を採用しております。
いずれにしても、ルセフィをダイエット目的で使用する場合は自由診療となり、保険は適用されないので注意が必要です。
ルセフィの薬価は次のとおりです(※6)(※7)。
ルセフィの薬価
ルセフィ錠2.5mg:160.8円/錠
ルセフィ錠5mg:239.3円/錠
ルセフィODフィルム2.5mg:161.20円/フィルム
たとえば、ルセフィ錠2.5mgが保険適用(3割負担)で処方された場合、1か月分(30錠)の費用は1,500円ほどです(薬代のみ)。
ダイエット目的での自由診療(保険適応外)の場合は、ルセフィ錠2.5mgを1か月分(30錠)購入する場合で10,000~20,000円ほどかかるでしょう。
※6:薬価|商品情報|医療用医薬品 : ルセフィ
※7:薬価|製品概要|選択的SGLT2阻害剤「ルセフィ® ODフィルム2.5mg」の発売について|大正製薬株式会社
ルセフィの販売は中止されていません。
結論からいうと、ルセフィの販売は中止されていません。ルセフィはもともと、大正製薬株式会社とノバルティスファーマ株式会社の提携によって2014年から販売されていた薬です。
しかし、2019年にノバルティスファーマ株式会社の提携が終了したため、「ルセフィの販売中止」という話が出てきたのでしょう(※8)。
ノバルティスファーマ株式会社の提携終了後は、大正製薬株式会社が単独で販売しているため、ルセフィの供給が停止されたわけではありません。
正しく服用すれば、ダイエットに対する効果も期待できる薬です。
ルセフィは2型糖尿病の治療薬ですが、腎臓で糖の再吸収を抑制する作用をもつことから、ダイエットに対する効果も期待されています。
過剰な糖を尿中に排泄することで、実質的に糖質制限をしている状態になるため、体重の減少効果が期待できるのです。
ルセフィは2型糖尿病の治療に用いられる薬で、SGLT2阻害薬に分類されます。ルセフィを服用すると血液中へ戻るはずだった糖が尿中に排出されるため、血糖値が低下するという仕組みです。余分な糖が排出されると、その分摂取カロリーが減るため、副次的なダイエット効果も期待されています。
ただし、ルセフィをはじめとするSGLT2阻害薬には、脱水や低血糖、尿路感染などの副作用リスクもあるため、使用には十分な注意が必要です。
服用に注意が必要な方や、服用できない方もいるので、使用の際は、医療機関において医師や看護師からの説明を受けると安心でしょう。
NOBUヘルシーライフ内科クリニック藤原 信治 先生
東京都板橋区にあります『NOBUヘルシーライフ内科クリニック』を運営している院長の藤原信治と申します。
当クリニックは一般保険診療としては糖尿病・高血圧症・脂質異常症などの生活習慣病や腎臓病の診療に強みがあるクリニックですが、美容内科として医療ダイエット外来を中心とする肥満症治療(メディカルダイエット)を行っています。
肥満症は外見上の問題だけでなく、上記の生活習慣病が発生する原因にもなる為、予防医療の一環として当クリニックは美容内科診療にも力を入れています。
具体的には、安全性と有効性が証明されている処方薬で体脂肪と体重を減少させたり、脂肪冷却ダイエット装置(当クリニックではクールテックディファインという既存の他製品より優れた脂肪冷却性能を有する機器を採用)を用いて冷却した皮下脂肪を物理的に消失させる施術を行っています。
皆さまのかかりつけ医として、『親しみやすく分かりやすい診察』を心がけ、安心して受診していただけるクリニックを目指しています。
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