トコジラミとは?症状と駆除する方法、ホテルを利用する際の対策を解説
この記事は、現在海外で社会問題となっている害虫「トコジラミ」について、症状と対策を知りたい方に向けて書いています。
トコジラミとは俗称で南京虫(ナンキンムシ)と呼ばれるカメムシの仲間です。個人差はありますが、刺されると強いかゆみの症状が出ます。かつて戦後の日本にはトコジラミが広くまん延していましたが、DDT(有機塩素系殺虫剤、ジクロロジフェニールトリクロロエタンの略)や効力のある薬剤によって、東京オリンピックの頃には日本中から姿を消したといわれていました。そんなトコジラミが、近年、発生・被害件数が増加しています。
本記事では皮膚科専門医に監修していただき、トコジラミとはどんな害虫か、被害にあった際にはどのような症状が起こるのか、そして駆除する方法はあるのか、不安な方はぜひご覧ください。ホテルを利用する際の対策などもご紹介します。
目次
トコジラミ(南京虫)とは?
トコジラミは、名前に「シラミ」とついていますが、分類学的にはカメムシの仲間とされる害虫です。丸く平べったい形をしており、やや黒みを帯びた濃い茶色(褐色)が特徴です。
トコジラミは人やペットを吸血する習性があり、個人差はありますが、刺された人はとても強いかゆみを経験します。近年、保健所や市町村から寄せられる衛生害虫等の相談件数が増えており、中でもトコジラミの相談件数が多いことから、発生・被害件数も増大していると考えられます。
トコジラミの大きさ
トコジラミの成虫の大きさは約5〜8mm程度で肉眼では確認できます。一方、トコジラミのメスが生む乳白色の卵は大きさ1mm程度、生まれた幼虫も1〜2mm程度とされているため、肉眼での発見はきわめて困難です。また、トコジラミのメスがどこに卵を産み落とすかはわからないため、一旦生息が拡大すると、駆除はそれだけ困難となります。
トコジラミはどんなところにいる?
一番を多いのは、寝室です。ベッド周りをはじめ、あらゆる隙間に潜り込んでいます。
たとえば、
- ベッドの頭のところにある板と壁の隙間
- 家具の隙間
- タンス・引き出しの裏
- 衣類ケース
- 壁と床の隙間・幅木
- カーテン
- 壁にかけた絵の裏
- ソファーの隙間・裏
- 布団を入れる押入れ
- 畳の縁・裏
- 床の間 など
お風呂場やキッチン等にいることはあまりありません。
トコジラミが付着するのはどんなとき?
- トコジラミが住み着いたベッドに座り、そのまま衣服に付着する
- トコジラミのいるホテル(部屋)に置いたカバンに産卵され、そのまま自宅に持ち帰った
- 親しい友人の部屋をお互い行き来する中で被害が広がった
など、トコジラミが人に近いところで人に依存しながら生息しているため、人が使用するさまざまなものに付着する可能性も高く、あちこちに広がってしまうリスクがあります。
トコジラミ(南京虫)による症状(刺された痕)
トコジラミは寝ている間に体に取り付き、3〜10分もの間、吸血します。それによってまず起こる症状は、かゆみです。また、点々とした複数の赤い発疹がみられます。
はじめて刺された方はかゆくならないことも多いですが、何回か繰り返し刺されるうちに、体内に抗体が形成され、かゆみを感じるようになります。このかゆみはアレルギー反応によるもので、すぐにかゆくなる人と、1〜3日ほどでかゆくなる人と、個人差があります。
ウイルスを保有した蚊に刺されて感染する病気を蚊媒介感染症といいますが、トコジラミに関しては今のところ、病気を媒介するというデータは発見されていません。
トコジラミによる、かゆみ以外の症状
刺された人は、
- 不眠症
- 神経障害
- 発熱
などの症状に悩まされることもあります。
また、強いかゆみを我慢できずに、かきすぎて皮膚に傷がつき、細菌による二次感染で傷口が化膿することもあります。
トコジラミに刺されたら何科を受診する?
基本的には皮膚科を受診します。
刺された部位にかゆみの症状がある場合はもちろん、発熱などの全身症状がみられている方はなるべく早めに受診しましょう。
トコジラミ(南京虫)の対策 – ホテル・旅館などの宿泊施設
定期的な清掃は、トコジラミの駆除とまん延防止において非常に重要です。トコジラミは非常に繁殖力が高いため、感染が始まると急速に広がることがあります。定期的な清掃が行われない場合、感染は他の部屋や建物にも拡大する可能性があるため、早めの対策が必要です。
具体的には、やはりベッドや寝具の清潔を保つことが重要です。マットレスやベッドフレームの隙間、枕など、トコジラミが隠れる場所を徹底的に清掃しましょう。もちろん部屋全体の掃除も必要です。床、壁、家具の表面、カーテン、カーペットなど、トコジラミが潜む可能性のある場所を念入りに清掃し、不要な物品やゴミを整理してトコジラミの隠れ家を減少させることがポイントです。
ホテルや宿泊施設では、宿泊客が退室した後に部屋を徹底的に清掃し、トコジラミの存在を排除するための対策が欠かせません。定期的な点検と駆除作業は、感染を未然に防ぐために不可欠な措置です。
トコジラミは自分で駆除できる?
現在、市販の殺虫剤等に抵抗性をもつトコジラミも報告されており、自身で駆除することが困難であるといわれています。そのため、トコジラミ発生の可能性が疑われる場合は、有害生物を専門的に駆除する経験豊富なペストコントロール業者へ調査及び防除依頼をするのが望ましいです。
こちらの記事の監修医師
前田皮膚科クリニック前田 文彦 先生
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