オゼンピックとは?ダイエットの効果や使い方・副作用・おすすめの人を解説
- NOBUヘルシーライフ内科クリニック 藤原 信治 先生
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メディカルダイエットに使用される薬剤として、知名度を高めている「GLP-1」。2型糖尿病の治療に使用される、安全性の高い薬剤です。ただし、GLP-1には副作用があり、一部の人は使用できないことをご存知ですか。
本記事では医師監修のもと、GLP-1ダイエットの危険性や副作用について、詳しく解説しています。期待できる効果、痩せない場合の対処法、GLP-1ダイエットがおすすめの人・おすすめできない人についても、ご紹介します。
目次
GLP-1(GLP-1受容体作動薬)そのものは安全性が確認され、糖尿病治療にも使われています。ただし、特定の条件に合致する人が使用すると危険です。
例えば、摂食障害の人が使用した場合はカロリー・栄養不足となる可能性があります。すべての薬と同様に、GLP-1も副作用のリスクはゼロではありません。
以下に該当する人は、GLP-1を使用することができない可能性があります。
※ GLP-1を使用できない可能性がある人
本来使用できないにも関わらず、GLP-1を使用した場合、重い副作用が生じたり、病気を悪化させたりするリスクがあります。
最悪の場合には、健康や命に関わる可能性もあるため、自己判断で服用することは避けましょう。
GLP-1ダイエットでは、以下のような副作用が生じる可能性があります。
【メディカルダイエットで起こりうる主な副作用】
悪心・嘔吐・下痢・便秘については、数週間程度で改善されるケースも多いですが、改善されない場合や、強く症状が出る場合などは、病院に相談してください。
また、めまい・動悸・ふらつき・倦怠感・頭痛などの症状が出た場合は、 低血糖の可能性があります。
低血糖症状が出た場合は、甘いジュースや飴を摂ることで改善します。症状が治らない場合、頻繁に低血糖症状が出る場合などは、早めに病院に相談しましょう。
GLP-1は、小腸から分泌されるホルモンです。つまり、GLP-1ダイエットは、人体にもともと存在する成分を補うことで、痩身効果を得るダイエット方法ということができます。
ここからは、GLP-1ダイエットの特徴と2つの摂取方法を通じて、GLP-1ダイエットへの理解を深めましょう。
GLP-1ダイエットには、以下のような特徴があります。
GLP-1は、食欲を抑える働きがあるため、自然に食事制限できます。もともとの食事量が多い方も、意識的にきつい食事制限に取り組む必要がなく、ストレスを感じにくい点も大きな特徴です。
そのため「ストレスによって食事量が増える」といった、リバウンドのリスクも少ないダイエット方法といえるでしょう。
GLP-1を摂取する方法は「内服薬」「注射」の2種類です。それぞれの特徴は、以下の通りとなります。
内服薬 | 注射 | |
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使用方法 | 用法・用量を守って服用する | 自身で注射を行う |
費用の目安 | 1ヶ月分で10,000円〜40,000円前後 (リベルサス錠の場合) |
1本16,000円〜30,000円程度 (オゼンピックの場合) |
メリット |
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デメリット |
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内服薬は、注射に極度の抵抗がある人でもGLP-1が摂取できます。薬を飲むだけなので、外出中でも短時間かつ簡単に摂取することが可能です。
一方、薬の効果をしっかりと発揮するためには、用法・用量を守る必要があります。
例えば、GLP-1内服薬の一種であるリベルサスの場合「起床時(空腹時)の服用」「服用後30分〜1時間の飲食禁止」といった制約があります。
【内服薬がおすすめの人の特徴】
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注射は、太もも・お腹・二の腕などへの皮下注射で、GLP-1を摂取します。注射は、内服薬と比較して投与回数が少なく、効果が持続しやすい傾向です。
一方、病院で指導を受けた上で、自分自身で注射をする必要があります。
注射そのものは消して難しくありませんが、打つ場所を毎回ずらすなどの配慮が必要です。
【注射がおすすめの人の特徴】
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GLP-1は、以下のような作用によりダイエット効果が期待できます。
GLP-1を摂取すると、中枢神経に作用して食欲が抑えられるほか、胃腸の働きが抑えられることで、満腹感も持続しやすくなります。一般的なダイエットでは、意思の力で食欲を抑えなければならないため、辛く、ストレスの原因になるでしょう。
一方、GLP-1は意思の力で食欲を抑える必要がないため、無理せず、そしてストレスなくダイエットできます。さらにGLP-1には、脂肪の分解を促進する作用もあるため、効率的なダイエットが期待できるのです。
GLP-1ダイエットをしているにも関わらず痩せない場合は、以下のような理由が考えられます。
運動不足の人は、筋肉量や代謝の低下から痩せにくい体質となっている可能性があります。このようなケースでは、GLP-1の効果が出にくいケースも考えられます。
GLP-1ダイエットにおいて過度な運動は不要ですが、適度な運動習慣を持つことで、効率的に痩せることが期待できるでしょう。
GLP-1を使用していても、食事や間食の量が多く、摂取カロリー過多の人は、ダイエットの成果が出ない可能性があります。GLP-1には、脂肪の分解を促す作用はありますが「いくら食べても太らないダイエット方法ではない」という点には、注意が必要です。
具体的にどの程度のカロリーや食事量を摂取すれば良いかわからない人は、GLP-1の処方を受けている病院に相談し、指導を受けると良いでしょう。
食事の栄養バランスが偏っていると、GLP-1のダイエット効果が出にくい可能性があります。
例えば、血糖値の上がりやすい糖質や、脂質を多く摂っている場合は、要注意です。
また、食事の回数や摂取カロリーが少ない方は、痩身効果は出るかもしれませんが、 低血糖などのリスクが高まる恐れも考えられます。そのため、栄養バランスの良い、適切なカロリーの食事を、1日3回きちんと摂るように心がけてください。
GLP-1ダイエットに関わらず、もともと痩せている人が、それ以上に痩せることは難しいでしょう。
そもそも健康の観点から、それ以上痩せることが望ましくない人に対して、医療機関がGLP-1を処方することはないと考えられます。
GLP-1の個人輸入も不可能ではありませんが、健康上のリスクも非常に大きいため、必ず医療機関で処方を判断してもらいましょう。
以下に該当する人には、GLP-1ダイエットがおすすめです。
GLP-1は、薬で食欲を無理なく抑えられる点が、大きな特徴です。そのため、自分の意志の力で、食事制限やきつい運動をするといった「一般的なダイエット」に挫折した方には特におすすめできます。
なお、GLP-1ダイエットは、早ければ1ヶ月前後から効果が出始めます。そのため、結婚式などのイベントを控えていて、失敗のリスクを減らして痩せたい人にもおすすめです。
以下に該当する人には、GLP-1ダイエットをおすすめできません。
今回ご紹介したように、GLP-1ダイエットには副作用のリスクもゼロではありません。そのようなリスクをまったく許容できない人は、GLP-1ダイエットを試さない方が賢明です。
また、GLP-1ダイエットの処方には、事前診断も含めて一定の経済的負担があるため「ダイエットにまったくお金をかけたくない」という人にもおすすめできません。
GLP-1ダイエットを始める際は、GLP-1を取り扱う医療機関に相談しましょう。具体的には、直接来院して受診する方法と、オンライン診療を受ける方法があります。
当記事を監修しているNOBUヘルシーライフ内科クリニックでは、対面でのGLP-1ダイエット外来を行っております。GLP-1は本来、糖尿病の治療薬であることは前述した通りです。GLP-1ダイエットは肥満症の治療という目的で行う医薬品を用いる医療行為であり、副作用など健康上のリスクがあり得ます。
一方で、巷では糖尿病の診療経験がない医療機関などでも、この治療薬を処方している場合があります。ホームページで所属医師の経歴を見れば、医師の専門性の確認が可能です。GLP-1ダイエットにご興味のある方は、服用のリスク等を考慮して、糖尿病や内科の診療経験が豊富な医療機関で処方してもらうのが良いでしょう。(美容的効果だけをうたっているような専門外の医療機関、医療広告には十分注意してください。)
また現在、GLP-1処方対応については「オンライン診療」を活用されている医療機関も存在します。中にはGLP-1処方の妥当性を正しく診断しないまま「ただ処方しているだけ」というケースも見受けられます。
当クリニックでは、副作用の出現の見落としなど患者さんの健康を守るという観点において安全上の問題でリスクが高いことから、オンライン診療でのGLP-1処方は行っていません。オンライン診療自体を否定するものではありませんが、利用される方はその点について十分注意して活用するようにしてください。
GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の治療において保険適用もされている、安全な薬です。しかし、妊娠中・授乳中、未成年、高齢者、摂食障害などに当てはまる人、あるいは特定の病気や症状を持つ人などは服用できない可能性があります。
また、全ての薬と同じく副作用のリスクはあるため、それを留意した上で服用してください。GLP-1ダイエットは、無理なく食欲を抑えることができるため、食欲旺盛で食事の量が多い人・きつい運動が苦手な人などにおすすめです。
NOBUヘルシーライフ内科クリニック藤原 信治 先生
東京都板橋区にあります『NOBUヘルシーライフ内科クリニック』を運営している院長の藤原信治と申します。
当クリニックは一般保険診療としては糖尿病・高血圧症・脂質異常症などの生活習慣病や腎臓病の診療に強みがあるクリニックですが、美容内科として医療ダイエット外来を中心とする肥満症治療(メディカルダイエット)を行っています。
肥満症は外見上の問題だけでなく、上記の生活習慣病が発生する原因にもなる為、予防医療の一環として当クリニックは美容内科診療にも力を入れています。
具体的には、安全性と有効性が証明されている処方薬で体脂肪と体重を減少させたり、脂肪冷却ダイエット装置(当クリニックではクールテックディファインという既存の他製品より優れた脂肪冷却性能を有する機器を採用)を用いて冷却した皮下脂肪を物理的に消失させる施術を行っています。
皆さまのかかりつけ医として、『親しみやすく分かりやすい診察』を心がけ、安心して受診していただけるクリニックを目指しています。
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