最終更新日:2023.11.07 | 投稿日:2023.11.02

SGLT2阻害薬とは?ダイエット効果や副作用をわかりやすく解説

SGLT2阻害薬とは?ダイエット効果や副作用をわかりやすく解説

メディカルダイエット(医療ダイエット)で使用されるケースもある「SGLT2阻害薬」。もともとは糖尿病治療に利用される薬ですが、痩身効果も期待できます。

本記事では、医師監修のもと、SGLT2阻害薬のダイエット効果と副作用、具体的な薬の種類などについて解説しています。

SGLT2阻害薬がおすすめな人・おすすめできない人についてもご紹介していますので、ぜひご覧ください。

SGLT2阻害薬とは?わかりやすく解説

食事などで糖質を摂取すると、血糖値が上昇し、糖分を脂肪に換える作用を持つホルモン「インスリン」が分泌されます。そのため、糖質を摂りすぎると、体脂肪がどんどん蓄積されることになるのです。

SGLT2阻害薬は、余分なブドウ糖を尿とともに排泄し、血糖値を下げる薬です。SGLT2阻害薬を摂取すると、余分なブドウ糖を尿とともに排泄されるため、血糖値の過度な上昇を防ぎます。また、副次的な作用として、体重減少効果も期待できます。

SGLT2阻害薬の特徴

SGLT2阻害薬は、単独(単剤)で使用した場合、低血糖のリスクの低いことが特徴です。糖尿病治療で使われるインスリン分泌促進薬には、低血糖リスクがあるため、SGLT2阻害薬との大きな違いということができるでしょう。

なお、SGLT2阻害薬は1型糖尿病の方にも使用できますが、低血糖のリスクを高めるケースもあるため注意を要します。

SGLT2阻害薬の使用で得られるダイエット効果

SGLT2阻害薬の種類によって多少の違いはあるものの、長期服用による体重減少効果が期待できます。(※1)

これと比較すると、糖質制限ダイエットの方が体重減少効果は大きいでしょう。ただし、糖質制限ダイエットは、糖質の減らしすぎによる筋肉量減少のリスクがあります。

一方、SGLT2阻害薬は余分なブドウ糖を排泄するだけなので、筋肉量減少のリスクは比較的少ないと考えられます。

※1:福岡県薬剤師会によれば、52週の薬剤投与によって、平均3kg前後の体重減少が認められました。(公益社団法人 福岡県薬剤師会 「質疑応答」)

SGLT2阻害薬の使用で起こりうる副作用

SGLT2阻害薬の使用で起こりうる副作用には、以下のようなものがあります。

  • 脱水
  • 尿路感染症
  • 下痢
  • 発熱
  • 嘔吐
  • 低血糖

上記のような症状が出たら、SGLT2阻害薬の処方を受けた病院に早めに相談してください。

SGLT2阻害薬の服用中は尿の量が増えるため、脱水症状にならないよう、適度に水分補給しましょう。また、SGLT2阻害薬とインスリン分泌促進薬を併用する場合、低血糖に注意が必要です。頭痛・めまい・倦怠感といった低血糖の症状が出た人は、飴やジュースを摂取することで改善できます。

SGLT2阻害薬の種類・一覧

SGLT2阻害薬には、以下の6種類があります。

薬名 概要
カナグル 果物由来のSGLT2阻害薬で、80ヶ国以上で承認。2型糖尿病だけでなく2型糖尿病を合併する慢性腎臓病へも保険適応があります。数あるSGLT-2阻害薬の中では体重減少効果が最も高いのがカナグルです。
フォシーガ インスリン治療と併用できるSGLT2阻害薬で、110か国以上で承認。1型糖尿病と2型糖尿病の両方に使用可能です。糖尿病のない慢性腎臓病や慢性心不全の治療薬としても保険適応があります。
ジャディアンス 慢性心不全や2型糖尿病の方に使用可能なSGLT2阻害薬です。
スーグラ インスリン治療と併用できる、日本の製薬会社の共同研究で誕生したSGLT2阻害薬です。
ルセフィ 国内創製・開発のSGLT2阻害薬で、嚥下障害を持つ方でも服用しやすいフィルムタイプも存在します。
デベルザ 国内創製・開発のSGLT2阻害薬で、作用が短いため、夜間頻尿に悩む方にも適しています。

なお、全てのSGLT2阻害薬に共通する禁忌事項は、以下の通りです。

【禁忌事項】

  • 薬の成分に対して過敏症の既往歴がある方への投与
  • 重症ケトーシス・糖尿病性昏睡・糖尿病性前昏睡の方への投与
  • 手術前後・重い外傷や感染症のある方への投与
  • 妊婦・産婦への投与

カナグル

カナグルは、一般名を「カナグリフロジン」といいます。80ヶ国以上で承認されている、梨やリンゴなどの果物から開発された薬です。2型糖尿病ほか、2型糖尿病と合併した慢性腎臓病の患者さんにも使用することができます。

毎日1回100mgが通常の投与量です。

【禁忌事項】

  • 1型糖尿病の方への投与
  • 2型糖尿病で透析中の末期腎不全あるいは高度腎機能障害の方への投与
  • 高齢者へは慎重投与 など

※SGLT-2阻害薬のうち体重減少効果が最も高いのがカナグルであるため、当記事の監修医師である私が運営するクリニック(NOBUヘルシーライフ内科クリニック)の医療ダイエット外来においては、『カナグル』を採用しています。

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フォシーガ

フォシーガは、一般名を「ダパグリフロジン」といいます。110ヶ国以上で承認されている、インスリン治療との併用が可能な薬です。2型糖尿病ほか、慢性心不全や糖尿病のない慢性腎臓病、1型糖尿病の患者さんにも使用することができます。

効果のない場合は10mgまで増量できますが、毎日1回5mg が通常の投与量です。

【禁忌事項】

  • 糖尿病で透析中の末期腎不全あるいは高度腎機能障害の方への投与  など

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ジャディアンス

ジャディアンスは一般名を「エンパグリフロジン」といいます。2型糖尿病ほか、慢性心不全の患者さんにも使用することができます。

効果のない場合は25mgまで増量できますが、毎日1回10mg が通常の投与量です。

【禁忌事項】

  • 1型糖尿病の方への投与
  • 2型糖尿病で透析中の末期腎不全あるいは高度腎機能障害の方への投与 など

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スーグラ

スーグラは一般名を「イブラグリフロジン」といいます。国内の製薬会社の共同研究で生まれ、インスリン治療との併用も可能な薬です。2型糖尿病ほか、1型糖尿病の患者さんにも使用することができます。

効果のない場合は100mgまで増量できますが、毎日1回50mgが通常の投与量です。

【禁忌事項】

  • 重度腎機能障害の方への投与
  • 透析中の末期腎不全の方への投与 など

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ルセフィ

ルセフィは一般名を「ルセオグリフロジン」といいます。国内創製・開発のSGLT2阻害薬です。2型糖尿病の患者さんには使用できる一方、 腎機能が低下している方や1型糖尿病の方に使用することはできません。

なお、ルセフィは錠剤のみならず フィルムタイプも存在し、嚥下障害を持つ方などにも服用しやすいといえます。

効果のない場合は5mgまで増量できますが、毎日1回2.5mgが通常の投与量です。

【禁忌事項】

  • 1型糖尿病の方への投与
  • 重度腎機能障害の方への投与
  • 透析中の末期腎不全の方への投与
  • 高齢者へは慎重投与 など

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デベルザ

デベルザは一般名を「トホグリフロジン」といいます。国内創製・開発のSGLT2阻害薬です。

他のSGLT2阻害薬と比較して、作用時間は短いですが、逆に、夜の作用を抑制して夜間頻尿を抑えられる点はメリットとなります。また、基本的に2型糖尿病の方への処方となります。

毎日1回20mgが通常の投与量です。

【禁忌事項】

  • 1型糖尿病の方への投与
  • 重度腎機能障害の方への投与
  • 透析中の末期腎不全の方への投与 など

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SGLT2阻害薬がおすすめな人の特徴

SGLT2阻害薬は、以下のような方におすすめです。

  • 糖質制限ダイエットしたい人
  • 血糖値を改善したい人
  • 自費診療で問題ない人

SGLT2阻害薬は、摂取したブドウ糖を排泄します。つまり、普通の食事をしていてもSGLT2阻害薬を服用することで、糖質制限ダイエットと同じ効果が期待できます。

また、血糖値上昇の原因となるブドウ糖を排泄するため、血糖値を改善したい人にもおすすめです。

なお、SGLT2阻害薬は日本で2014年に保険適用されましたが、糖尿病治療でない場合は自費診療となります。

SGLT2阻害薬をおすすめできない人の特徴

以下に該当する人は、SGLT2阻害薬をおすすめできない可能性があります。

  • 自由にトイレに行きづらい仕事に従事する人
  • 75歳以上の人
  • 認知機能低下などの老年症候群のある65〜74歳の人

SGLT2阻害薬の服用中は、尿の量が増えます。尿の量が増えることは副作用ではありませんが、自由にトイレに行きづらい仕事に従事する人には、おすすめできないケースもあります。

また、日本糖尿病学会は「75歳以上の人」「認知機能低下などの老年症候群のある65歳〜74歳の人」については慎重に投与するようアナウンスしています(※2)。

「75歳以上の人」「認知機能低下などの老年症候群のある65〜74歳の人」のSGLT2阻害薬の使用が禁止されているわけではありませんが、医療機関で処方を慎重に判断してもらう必要があるでしょう。

※2:日本糖尿病学会「糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation」

SGLT2阻害薬を使用する方法

SGLT2阻害薬は市販されていないため、使用したい方は病院を受診する必要があります。

相談を希望する医療機関のホームページなどを見て、SGLT2阻害薬の取り扱いがあるか、事前にチェックしておきましょう。

なお、オンライン診療に対応する医療機関の場合、来院不要でSGLT2阻害薬を自宅に郵送してもらうことができます。

SGLT2阻害薬に関するまとめ

SGLT2阻害薬は、余分なブドウ糖を排泄する作用を持つ薬で、糖質制限ダイエットと同様の効果が期待できます。インスリンとは異なり、単独で使用する場合は、低血糖のリスクは低いです。

現在国内では、

  • カナグル
  • フォシーガ
  • ジャディアンス
  • スーグラ
  • ルセフィ
  • デベルザ

の 6種類が処方されています。

SGLT2阻害薬は、

  • 自由にトイレに行きづらい仕事に従事している人
  • 高齢者の方

には向いていない可能性がある一方、

  • 無理なく糖質を制限して痩せたい人
  • 無理な食事制限をせず血糖値を改善したい人

などに適していると考えます。

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こちらの記事の監修医師

藤原 信治

NOBUヘルシーライフ内科クリニック藤原 信治 先生

東京都板橋区にあります『NOBUヘルシーライフ内科クリニック』を運営している院長の藤原信治と申します。

当クリニックは一般保険診療としては糖尿病・高血圧症・脂質異常症などの生活習慣病や腎臓病の診療に強みがあるクリニックですが、美容内科として医療ダイエット外来を中心とする肥満症治療(メディカルダイエット)を行っています。

肥満症は外見上の問題だけでなく、上記の生活習慣病が発生する原因にもなる為、予防医療の一環として当クリニックは美容内科診療にも力を入れています。

具体的には、安全性と有効性が証明されている処方薬で体脂肪と体重を減少させたり、脂肪冷却ダイエット装置(当クリニックではクールテックディファインという既存の他製品より優れた脂肪冷却性能を有する機器を採用)を用いて冷却した皮下脂肪を物理的に消失させる施術を行っています。

皆さまのかかりつけ医として、『親しみやすく分かりやすい診察』を心がけ、安心して受診していただけるクリニックを目指しています。

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