抗肥満薬(肥満改善薬)「アライ」とは?どこで買える?効果や副作用を説明
- UnMed Clinic Motomachi 髙倉 一樹 先生
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ダイエットをサポートするサプリメントや医薬品を探していて、「ゼニカル」という名前を聞いたことはありませんか?
医薬ゼニカルは、オルリスタットという成分品で、食事中の脂肪吸収を抑える「リパーゼ阻害薬」に分類されます。日本ではまだ未承認の医薬品で、自費の診療を受けると医師から処方してもらえる医薬品です。
本記事では医師監修のもと、ゼニカルの効果や副作用、ダイエット効果を高める飲み方などを詳しく解説していきます
目次
ゼニカルは、オルリスタット(Orlistat)という成分を配合したカプセル状の内服薬です。食事中の脂肪を分解する酵素「リパーゼ」の働きを阻害し、体に吸収させないようにします。
アメリカ食品医薬品局(FDA)で正式に認可されており、アメリカや欧州ではBMI:30以上の肥満症の患者、もしくはBMI:27〜28以上で高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病患者(日本でいうメタボリック症候群)の治療薬として、病院で処方されたり市販薬として発売されています。
ただし、ゼニカルはまだ日本では販売が許可されていない未承認医薬品という位置付けの医薬品です。病院で医師から処方してもらうことはできますが、保険適用のない自費診療(10割負担)で処方されます。
ゼニカルを飲むことにより、食事中の脂肪の約30%程度の吸収が抑えられ、便から排泄されるようになります。
脂肪(脂質)は、炭水化物やたんぱく質に比べて1gあたりのカロリーが高いため、脂肪の吸収を抑えることで摂取カロリーを大幅に抑えられます。痩せられないのは、食事の摂取カロリーが消費カロリーを上回ることが大きな原因です。そのため、脂肪の多い食事を摂ることが多い人は、ゼニカルを飲むことでダイエット効果を感じやすいでしょう。
ゼニカルによる体重の減りには個人差がありますが、継続する期間が長いほど効果を得られやすくなります。飲み始めてすぐ効果を感じる人もいるようですが、半年〜1年単位の継続で徐々に体重を減らせるタイプの医薬品と考えてください。
ゼニカルは医薬品のため、使用中に副作用が起こる可能性があります。ここからは、ゼニカルを飲むことで起こりうる以下の副作用について解説していきます。
上記の副作用は、ゼニカルの「脂肪の吸収を抑える」効果によるものです。
これらによって体の不調が出る場合には、ゼニカルの使用を中止することをおすすめします。また、その他の重篤な副作用についても解説していきます。
ゼニカルは脂肪の消化吸収を抑える薬のため、吸収されなかった脂肪や油が便に混ざってしまうことがあります。
具体的には、白っぽくて水に浮く脂肪便が出たり、下着に油のようなシミがついたりします。また、脂肪の多い便によってお腹の調子が悪くなったり、ゆるくなったりして軟便が出ることもあるでしょう。
このような症状は、油っぽい食事をした時にも出やすいです。ゼニカルを飲んでいる期間は、油や脂肪分の多い食事はなるべく避けることをおすすめします。
また、お腹の調子に変化が出るため、おならが出やすくなる人もいます。おならと一緒に便が出てしまう場合もあるため注意が必要です。
上記の油漏れ・脂肪便・おならなどの副作用は、ゼニカルを飲んだ人の約20%に起こるといわれています。特に、ゼニカルを飲み始めたばかりの人や、脂肪分の多い食事を好む人に出やすいでしょう。
多くの場合、副作用の程度は軽く、ゼニカルを続けている間に落ち着きます。ですが、お腹の調子がずっと悪い場合は医師や薬剤師に相談して、量を調節したり中止したりする必要があります。
ゼニカルの使用中は、ビタミンの摂取不足が起こる可能性も考慮しておくと良いでしょう。特に、ビタミンA・D・E・Kなどの脂溶性ビタミンは、食事中の脂肪と一緒に摂ることで吸収されるため、ゼニカルを飲むことで体内への吸収が少なくなる可能性があります。
普段から栄養やビタミンがしっかり摂取できる食事内容を心がけるようにしましょう。
ダイエット中にマルチビタミンのサプリメントを飲む人も多いですが、ゼニカルと同時に飲んでしまうと脂溶性ビタミンの吸収効率が悪くなってしまいます。ゼニカルを飲む2時間前と飲んでから2時間後は、サプリメントを飲まないようにして、夜寝る前にサプリメントを飲むと良いでしょう。
ビタミンの吸収が不足してしまうことで、肌状態が悪化することがあります。ビタミンAやビタミンEは肌や粘膜の状態に関係するビタミンでもあり、不足するとカサつきが気になってくることもあるでしょう。普段からスキンケアをしっかり行い、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
また、ゼニカルを飲んですぐに、じんましんや全身にかゆみが出る場合がまれにあります。この症状はゼニカルの何らかの成分によるアレルギーのため、すぐに病院を受診する必要があります。
ゼニカルの重篤な副作用として、肝機能障害があります。
海外でのケースとなりますが、皮膚や白目が黄色くなる黄疸という症状や脱力感、腹痛の副作用が30件程度されています。
ゼニカルを飲み始めてから、黄疸や脱力感、腹痛、発熱、褐色尿、吐き気、かゆみ、食欲不振など体調の変化が見られる場合は早めに医療機関を受診しましょう。また、定期的に医師の診察や健康診断を受け、健康上に問題がないか確認する機会をつくるように心がけてください。
ゼニカルを処方してもらう際、医師や薬剤師から飲み方を説明されるので、その通りに飲んでください。
一般的には1回1カプセルを1日3回、食事中や食後1時間以内に飲みます。1日に飲む量は、医師が効果や年齢、他に使用中の薬などを考慮して決めるため、必ず指示された通りに飲んでください。
一度に大量に飲むと副作用が起こる原因となるため、自己判断で飲む量や回数を変えないよう気をつけましょう。
ここでは、ゼニカルの注意点について解説します。薬の飲み合わせや使用上の注意点について解説するので、ゼニカルを処方してもらう前に確認しておきましょう。
現在、ゼニカル以外に飲んでいる薬やサプリメントがある人は、必ずかかりつけの医師または薬剤師に相談しましょう。特に、以下の薬を使用中の人はゼニカルの使用に注意が必要です。
上記の薬とゼニカルを一緒に飲むと、上記の薬の効果が思うように得られなくなったり、思わぬ副作用を招いたりすることがあります。治療中の病気を悪化させる原因となるため、ゼニカルは使用しないようにしてください。
また、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)を含む医薬品やサプリメントを使用中の人も医師や薬剤師に相談しましょう。ゼニカルは脂溶性ビタミンの吸収を抑えてしまうため、思うような効果が得られなくなってしまいます。
以下に該当する人は、ゼニカルが適していない可能性があるため、まずは医師や薬剤師に相談しましょう。
上記に当てはまる人がゼニカルを使用すると、体調の悪化や持病の悪化、ゼニカルの重篤な副作用が現れるリスクが高まります。他の減量方法に変更したりゼニカルの使用量を調節したりすることもあるため、ゼニカルを使用する前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
また、ゼニカルを使用できない人は次のとおりです。
ゼニカルを使用すると、胆汁うっ滞や吸収不良症候群の悪化を招き、肝臓へ悪影響を与えます。
また、12歳未満の子どもや妊娠中の人、胎児、母乳への影響についてはデータが不完全であり、効果や安全性がはっきりと分かっていません。
ゼニカルを使用するためには、医師の診察と処方を受ける必要があります。ゼニカルをはじめとしたダイエット目的の医薬品は、美容クリニックやダイエット外来の扱いがある病院で処方されることが多いです。
病院で医師の問診や診察を受けて、自身の悩みや症状にゼニカルが適していれば、処方を受けることができるでしょう。現在通っている病院や使用中の薬などが他にある場合は、診察時に必ず医師に伝えてください。
医師や薬剤師からゼニカルの飲み方について説明を受けたら、ゼニカルを受け取ることができます。
記事冒頭でお伝えしたとおり、ゼニカルは日本国内で承認されていない医薬品です。そのため、ゼニカルの薬代や診察代は、全て保険が適用されない自費扱い(10割負担)となります。支払う価格は病院によって異なるため、支払い価格が気になる場合はあらかじめ病院に問い合わせてみると良いでしょう。
ゼニカルの効果を高めるためには、医師や薬剤師に説明されたとおりに飲むことが重要です。自己判断で飲む量を増やしても、効果が強くなるわけではなく、かえって副作用により体調の悪化を招くことがあります。
また、ゼニカルは食事中の脂肪を吸収するのを抑える効果はありますが、すでに身についている体脂肪を減らしてくれるわけではありません。適度に運動することと、栄養バランスの取れた食事を心がけることが何よりも大切です。ゼニカルを飲むと脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収が減ってしまうため、緑黄色野菜など、ビタミン豊富な食品を積極的に摂ることをおすすめします。
脂肪の多い食事を減らしたり、摂取カロリーを適正に抑えたりしましょう。ゼニカルを飲んでいるからといって脂肪の多い食事を摂ってしまうと、減量が思うように進まないだけでなく、脂肪便や油漏れ、軟便といった副作用が出やすくなります。
また、受診先の病院で食事のアドバイスを受けられる場合は積極的に利用してみると良いでしょう。
最後に、ゼニカルについてよくある質問に回答します。
正しく使用すれば、決して危ない薬ではありません。
ゼニカルはFDAに認可され、アメリカや欧州では市販薬としても認められている医薬品です。ゼニカルは正しく使用すれば、決して危ない薬ではありません。
ただし、他の薬やサプリメントを飲みながらゼニカルを使用したり、ゼニカルを自己判断で使用したり、飲む量を変えてしまったりすることで副作用が出るリスクが上がります。また、体質的にゼニカルが合わず副作用が出る人もいるでしょう。
ゼニカルを使用している間は定期的に医師の診察を受け、体調に異常がないか確認しましょう。また、ゼニカルを使用中に体調の悪化がある場合は使用をやめ、早めに医師や薬剤師に相談してください。
ゼニカルには食事中の脂肪の吸収を抑える効果があります。
ゼニカルによって食事中の脂肪の吸収を抑えることで「摂取カロリー<消費カロリー」を実現できた場合、徐々に体重が減るのを実感できるでしょう。しかし、ゼニカルには体脂肪を減らしたり代謝を上げたりする効果はないため、すぐに痩せるというわけではありません。
ゼニカルは、病院で医師の診察と処方が必要な医薬品となっています。
ゼニカルを海外から個人輸入できるサイトがありますが、これらのサイトの中には国内で販売許可を得ていないサイトや、偽造医薬品を販売しているサイトが多くあります。偽造医薬品の中には、本来の医薬品とは別の成分が配合されていて、使用した人に重大な健康被害を及ぼしたものもあります。また、個人輸入した医薬品を別の人に売ったり、譲ったりすることは法律で禁止されています。
ゼニカルを飲みたい場合は、必ず病院を受診し、医師からの処方を受けてください。
オルリスタットの配合量に違いがあります。
アライとは、ゼニカルと同じオルリスタットを配合したアメリカの市販薬です。アメリカ食品医薬品局(FDA)に認可を受けており、日本でも処方箋なしで購入できる予定です。ゼニカルとの違いはオルリスタットの配合量です。ゼニカルは1カプセル中にオルリスタット120mgを含んでいますが、アライには1カプセル中60mgしかオルリスタットが含まれていません。
日本でも、アライを市販薬として発売する手続きが進んでいますが、はっきりとした発売開始時期はわかっていません。
この記事では、食事中の脂肪を吸収しにくくする医薬品「ゼニカル」について解説しました。ゼニカルは、脂肪を分解するリパーゼという酵素を阻害し、食事中の脂肪の一部を便中に排泄させます。
ゼニカルには副作用が出ることあり、また一緒に使用できない医薬品があったり、使用できない人がいるなど、使用上の注意が必要な医薬品です。
ゼニカルを使用したい場合は、病院で医師の診察を受けて処方してもらいましょう。適度な運動と栄養バランスの良い食事を心がけ、ダイエットのサポートとしてゼニカルの使用を検討してみてはいかがでしょうか。
UnMed Clinic Motomachi髙倉 一樹 先生
横浜市中区元町にあります「UnMed Clinic Motomachi 」院長の髙倉です。地元横浜でクリニックを開院しています。
今までに学んできた事、経験した事を最大限活かし、医学と科学をしっかり結び付けながら、患者さんに求められている医療を最大限表現したいと思います。そのために、今の時代の流れの中で、積極的に新しいものを取り入れながら、地元への医療貢献、さらにはここ横浜からグローバルな医療を皆様にお届け出来る様、精一杯努力する所存でおります。
現在、当院ではオンライン診療を立上げ、メディカルダイエット(肥満外来)、不眠症外来、コロナ後遺症外来を実施しております。全国の患者様に対応しておりますので、お気軽にホームページのオンラン診療予約からご予約ください。
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