最終更新日:2026.10.05 | 投稿日:2026.02.18

COPDとは?症状と急性憎悪、原因と診断治療のガイドラインを解説

COPDとは?症状と急性憎悪、原因と診断治療のガイドラインを解説

この記事は、息切れなどの呼吸器症状が長引いている方や、喫煙歴のある方に向けて書いています。

たばこの煙や職業上の粉じん・化学物質などに長期間さらされると、気道や肺胞に炎症や構造の変化が生じ、息を吐き出しにくくなることがあります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、このような持続的な気流閉塞を特徴とする病気です。少し体を動かすだけで息切れするようになり、進行すると日常生活に支障を来し、急性増悪を起こした場合には入院治療が必要になったり、命にかかわったりすることもあります。

診断や適切な治療の開始が遅れると、症状の悪化やQOL(生活の質)の低下につながる可能性があります。

本記事では呼吸器専門の医師に監修していただき、COPDの原因、急性増悪への備え、合併症、似た症状の病気、予防と対策、よくある質問について解説しています。

目次

COPD(シーオーピーディー)とは

COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、日本語で慢性閉塞性肺疾患といいます。たばこの煙などの有害物質を長期間吸い込むことで、気道や肺胞に慢性の炎症や構造の変化が生じ、息を吐き出しにくくなる病気です。これまで肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれてきた病気の総称として、現在ではCOPD(シーオーピーディー)と呼んでいます。

気道の炎症や肺胞(肺の組織)の破壊が徐々に進み、呼吸機能が低下していきます。普段は特に呼吸を意識することはありませんが、COPDになるとそのあたり前の呼吸動作が難しくなってしまいます。

COPDの病状が進むと日常生活動作もつらくなり、体を動かす機会が減ってしまいます。すると体力がさらに落ちて息切れが強まるという悪循環に陥りやすくなるため、早めに適切な治療を始めることが大切です。肺胞の破壊は原則として元に戻りませんが、禁煙・薬物療法・呼吸リハビリテーションなどにより、症状や運動能力の改善、増悪の予防を目指すことができます。

それにはかかりつけ医や呼吸器内科と連携しつつ、COPDの正しい知識を身につけて、自己管理を行うことが重要です。

COPDの原因となるたばこ

COPDの最大の危険因子は喫煙です。COPD患者さんの多くには喫煙歴があり、長期間・多量の喫煙ほど発症リスクは高くなります。一方で、喫煙者全員がCOPDを発症するわけではなく、粉じんや化学物質への職業上の曝露、大気汚染、受動喫煙、遺伝的要因なども関係します。

すでに禁煙している方へ

何年も前に禁煙した方でも、過去の喫煙による影響が肺に残っている場合があり、COPDのリスクがまったくなくなるわけではありません。しかし、禁煙には大きな意義があります。禁煙によって肺機能低下の進行を抑え、COPDの発症や増悪のリスクを下げることが期待できます。喫煙中の方も、今からでも禁煙する価値があります。

禁煙したいのにやめられないときは、禁煙外来を活用する

禁煙はCOPDの進行や増悪のリスクを抑えるうえで、最も重要な対策のひとつです。「何度も失敗した」「本数を減らしているがやめられない」という場合も、意志の問題だけではありません。医療機関の禁煙外来では、ニコチン依存への治療や、継続のための支援を受けられる場合があります。条件を満たせば保険診療の禁煙治療の対象となることもあり、禁煙補助薬やカウンセリングなど複数の支援方法があります。

再び吸ってしまっても「失敗」と決めつけず、再挑戦することが大切です。電子たばこや加熱式たばこへの切り替えだけでは完全禁煙にはならないため、自己判断せず医療者に相談しましょう。まずはかかりつけ医や呼吸器内科へご相談ください。

たばこを吸っていない方も注意が必要

受動喫煙も呼吸器の健康に悪影響を及ぼし、COPDのリスクに関係します。受動喫煙は、火のついたたばこから出る煙(副流煙)だけでなく、喫煙者が吐き出す煙(呼出煙)も含めた「環境たばこ煙」によるものです。身近に喫煙者がいる場合や、仕事柄、たばこの煙を吸い込みやすい環境にいる方は注意しましょう。

ベランダや換気扇の下で吸っていても、衣服や髪、皮膚についた煙の成分や、室内への流入を通じて家族が曝露することがあります。家族を含め、屋内や車内を完全禁煙にすることが重要です。

COPDの検査と診断|息切れや咳が続くときは何科を受診する?

まずは呼吸器内科、またはかかりつけ医に相談

息切れや咳、痰が続く場合は、呼吸器内科、またはかかりつけ医・一般内科に相談しましょう。専門的な検査が必要な場合は、必要に応じて呼吸器内科などを紹介してもらえます。

診断の基本となるスパイロメトリー(肺機能検査)

COPDは、咳・痰・息切れといった症状だけで確定する病気ではありません。診断では、専用の機器を使って息を最大限吸ってから強く吐き出す「スパイロメトリー(肺機能検査)」を行い、空気を吐き出しにくくなっていないかを確認します。

原則として、気管支拡張薬を吸入した後の検査で、1秒率(FEV1/FVC)が0.70未満という持続的な気流閉塞が確認され、ほかの病気が除外された場合にCOPDと診断します。

胸部X線・CT・血液検査などを行うこともある

胸部X線やCTでは、肺気腫の変化、肺炎、肺がん、間質性肺炎などの可能性を確認することがあります。このほか、パルスオキシメーター(酸素飽和度の測定)や血液検査、必要に応じて心電図や心エコーなどを行う場合があります。胸部X線だけでCOPDを確定することはできません。

息切れは心不全など心臓の病気でも起こるため、症状や検査結果に応じて、ほかの病気との見分け(鑑別)も進めます。COPDと症状が似た病気については、後述の「COPDに似た症状が起こる病気」で解説します。

COPDの治療|進行を抑え、息切れと増悪を減らすために

COPDの治療では、禁煙、吸入薬、呼吸リハビリテーション、ワクチンによる感染予防、栄養管理などを組み合わせます。治療の目的は、失われた肺胞を元に戻すことではなく、息切れや咳・痰を和らげ、急性増悪を減らし、できるだけ自分らしい生活を続けられるようにすることです。

治療の土台は禁煙と、有害な煙・粉じんを避けること

喫煙を続けたままでは、薬の効果も十分に得られません。禁煙と、職場や生活環境での有害な煙・粉じんへの曝露を減らすことが治療の土台です。

吸入薬で気管支を広げ、息切れを和らげる

治療の中心は、気管支を広げて呼吸をしやすくする長時間作用性の吸入気管支拡張薬(LAMA、LABA)です。症状などに応じて、両者の配合薬が使われることもあります。薬の効果を十分に得るには、吸入器の操作や吸う速さが合っていること、そして継続して使うことが大切です。診察時には使用中の吸入器を持参し、医師・薬剤師に使い方を確認してもらいましょう。

吸入ステロイド薬は必要な人に追加する

吸入ステロイド薬(ICS)は全員に使う薬ではありません。増悪を繰り返す場合、喘息の合併がある場合、血液中の好酸球数などを参考に、医師が必要性を検討します。

呼吸リハビリテーションで体力と生活の質を維持する

運動療法や呼吸法、栄養指導などを組み合わせた呼吸リハビリテーションも、治療の大切な柱です。詳しくは次の章で解説します。

低酸素血症がある場合は在宅酸素療法を検討することがある

検査で血液中の酸素が慢性的に不足している(低酸素血症)と判断された場合には、在宅酸素療法が検討されます。息苦しいからといって自己判断で始めるものではなく、検査に基づいて医師が導入を判断します。

COPDの呼吸リハビリテーションと日常生活の工夫

禁煙や処方された吸入薬の継続に加え、十分な睡眠と栄養、適度な身体活動も、COPDと付き合ううえで大切です。

息切れがあるからこそ、無理のない範囲で体を動かす

COPDでは、息切れを避けるために活動量が減ると、筋力や体力が低下し、さらに少しの動作でも苦しくなりやすくなります。症状に合わせて無理のない範囲で体を動かし、必要に応じて呼吸リハビリテーションを受けることが大切です。

呼吸リハビリテーションで学べること

呼吸リハビリテーションは運動だけではありません。次のような内容を、医師や理学療法士などの指導のもとで学びます。

  • 運動療法、体力・筋力の維持
  • 息切れを和らげる呼吸法
  • 家事や入浴などの日常動作の工夫
  • 栄養指導
  • 病気や治療、急性増悪の予防についての知識

運動の内容は重症度や心臓病などの合併症によって異なります。息切れが強い方、酸素療法中の方、胸痛やめまいがある方は、自己判断で強い運動を始めず、主治医に相談しましょう。

体重減少・低栄養を見逃さない

意図しない体重減少、食欲不振、筋力低下がある場合は、低栄養や筋肉量の低下の可能性があります。早めに医師や管理栄養士に相談しましょう。食事は「とにかく量を増やす」のではなく、体格や栄養状態、糖尿病などの併存症も踏まえて個別に調整します。

外出時や入浴時に息切れを減らす工夫

  • 荷物を小分けにし、動作を急がない
  • 家事を一度に済ませず、休憩をはさむ
  • 入浴時や脱衣所との温度差に注意する
  • 息切れしたときの「口すぼめ呼吸」は、医療者から正しいやり方を教わる

息切れが急に悪化したときの行動計画を主治医と決める

急に症状が悪化したとき、どの段階で連絡し、どの段階で救急要請をするのかを、あらかじめ主治医と話し合っておくと安心です。

COPDの急性増悪

COPDの急性増悪とは、普段の状態と比べて息切れ、咳、痰などが急に悪化し、治療内容の変更が必要となる状態です。呼吸器感染症がきっかけになることが多く、喫煙や空気汚染などが関与することもあります。

重症度は、症状の強さ、酸素の取り込み状態、意識の状態、治療への反応などから医師が評価します。増悪を繰り返すとCOPDの進行が早まり、生活の質や予後にも悪影響を及ぼすため、早めの対応が重要です。

早めに主治医へ連絡したい症状

  • 息切れが急に強くなった
  • 咳や痰の量が増えた
  • 痰の色が黄色や緑色などに変化した
  • 発熱や強いだるさがある

緊急性の高い症状

  • 安静にしていても強い息苦しさがある
  • 会話が難しい
  • くちびるや爪が青紫色になっている
  • 意識がぼんやりする、強い眠気がある
  • 胸の痛みがある

このような場合は、救急要請を含めた緊急対応が必要です。COPDの急性増悪は、放っておくと命に関わることがあります。ためらわずに対処しましょう。

COPDがあると感染症で重症化しやすい

COPDなどの慢性呼吸器疾患があると、インフルエンザをはじめとする呼吸器感染症をきっかけに、増悪や重症化を起こすリスクが高まります。風邪のような軽い感染症でも、COPDの方は注意が必要です。

そのため、COPDの早期発見と、感染症の予防が重要です。ワクチン接種については、後述の「COPDの増悪予防と対策」で解説します。まずは一度、かかりつけ医や呼吸器内科に相談してみましょう。

COPDの合併症リスク

COPD自体、発症を避けたい重大な病気ですが、併存する病気にも注意が必要です。COPDの方は肺がんのリスクが高く、肺炎などの呼吸器感染症で重症化しやすい傾向があります。

COPDと関連する肺以外の病気

COPDは肺や気管支だけでなく、全身にも影響を与えると考えられています。

  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 不整脈
  • 糖尿病
  • メタボリックシンドローム

など、さまざまな病気を併発しやすいことが知られています。

COPDが直接の死因でなくとも、こうした併存症によって命にかかわることも少なくありません。

またCOPDでは、低栄養や体重減少、骨粗鬆症(骨が脆くなる病気)、筋力低下(サルコペニア)、不安・抑うつなどを併発しやすく、肺だけでなく全身を含めた包括的な評価と管理が重要です。

日常生活の質を大きく下げるおそれのあるCOPDの予防と早期発見に努めましょう。

COPDに似た症状が起こる病気

気管支ぜんそく

気管支に炎症が起こる病気としてCOPDと最も共通点が多いのが気管支ぜんそくです。さまざまな刺激に気道が敏感になり、発作的に気道が狭まって息が苦しくなります。咳や痰の症状が出たり、息をするとヒューヒューと音がする喘鳴の症状もよく似ています。ぜんそくは変動する気流制限が特徴であることが多く、COPDは持続的な気流閉塞が特徴です。ただし両方の特徴を併せ持つ場合もあるため、医師の評価が必要です。

気管支拡張症

先天性の疾患や、幼少期の重い呼吸器感染症などが原因で気管支が広がる病気です。気管支の壁が弱くなって炎症や感染が起こりやすく、咳や痰、息切れのほか、症状の増悪も起こりやすくなります。

間質性肺炎

間質性肺炎は、間質という肺胞の壁に炎症や線維化が起こる病気です。症状が進むと肺の組織が硬くなり、肺機能が低下します。初期症状としては痰の出ない乾いた咳が続き、肺機能の低下に伴って、安静にしていても息切れが起こります。

肺がん

肺がんになると咳や息切れなど、COPDと同じような症状が起こります。単なる風邪だと思い込んで放置してしまうと、発見が遅れてしまうことも少なくありません。長引く咳、血痰、息切れの悪化、体重減少などがある場合は早めに受診し、必要な検査について医師に相談しましょう。

心不全

心不全とは、心臓の機能が低下して、十分に血液を送り出すことができなくなる病態です。心不全の原因は、狭心症や心筋梗塞、不整脈、心臓弁膜症のほか、高血圧や動脈硬化が要因となることもあります。

心不全の症状はCOPDによく似ていて、咳や痰、息切れのほか、むくみや冷や汗、全身の倦怠感がみられます。高齢のCOPD患者は心不全の発症リスクも高く、この2つが併発すると治療も複雑になるため、早期の受診が必要です。

COPDの増悪予防と対策

COPDの患者さんがもっとも注意しなければいけないことが、増悪です。増悪は単なる症状の悪化ではなく、重症の場合は命にかかわることもあります。また、軽い風邪が増悪のきっかけになることもあります。

ワクチンで感染症を予防する

COPD増悪のきっかけのひとつが、風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症です。そのため、感染症の予防が増悪の予防につながります。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンは、COPDの方の感染症・増悪の予防として推奨されています。日本呼吸器学会のCOPDガイドラインでは、このほかRSウイルスやCOVID-19のワクチンも安定期の管理項目として扱われています。年齢、基礎疾患、過去の接種歴によって適切なワクチンは異なるため、主治医と相談して接種を検討しましょう。接種時期や助成制度はお住まいの市区町村によって異なりますので、自治体のホームページもご確認ください。

寒冷や気温変化、空気汚染に注意

寒冷や気温の変化、感染症、空気汚染などによって症状が悪化することがあります。季節の変わり目は健康な方でも体調を崩しやすいため、体調や環境の変化にいつも以上に気を配りましょう。

手洗いなどの基本的な感染対策

風邪などの感染リスクを減らすために、日々の生活の中で手洗いを徹底しましょう。あわせて、室内の換気、混雑した場所での状況に応じたマスクの着用、体調不良の方との接触を避けることも大切です。

口腔ケアを心がける

口腔内を清潔に保つことは、口の中の健康や誤嚥性肺炎の予防に役立つ可能性があります。むし歯や歯周病などの歯科疾患の予防も含めて、口腔内のケアを心がけてください。

COPDが気になるときに受診前に確認したいこと

受診の際は、次のような情報を整理しておくと、診察がスムーズになります。

  • いつから息切れ、咳、痰があるか
  • 階段、坂道、歩行、入浴、着替えなど、どの動作で苦しくなるか
  • 痰の量や色、血が混じるかどうか
  • 発熱、体重減少、むくみ、胸痛、動悸の有無
  • 喫煙歴(何歳から何歳まで、1日何本程度か、現在も吸っているか)
  • 職場で粉じん、煙、化学物質にさらされることがあるか
  • 使用中の薬、吸入薬、サプリメント
  • 過去の肺炎、喘息、心臓病、睡眠時無呼吸、がんなどの病歴
  • 健診結果や、過去の胸部X線・CT画像があれば持参する

よくあるご質問

COPDとはどのような病気ですか?風邪や喘息とどう違うのでしょうか?

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、たばこなどの有害物質の長期吸入により、気道や肺胞に慢性の炎症や構造の変化が生じ、息切れや咳、痰が続く病気です。

風邪のように一時的な症状ではなく、年単位でゆっくり進行していきます。喘息は変動性・可逆性のある気流制限を特徴とすることが多いのに対し、COPDは持続性の気流閉塞が特徴です。ただし両者が重なる例や区別が難しい例もあるため、医師による評価が必要です。

COPDの初期症状にはどのようなものがありますか?

初期には「ちょっと動くと息が切れる」「痰がからむ咳が続く」など、日常に埋もれやすい軽い症状が出現します。

特に階段や坂道での息切れが目立つようになったり、朝方の慢性的な咳や痰が続く場合は、COPDのサインである可能性があります。症状はゆっくりと進行するため、「年齢のせい」と見過ごされやすい点に注意が必要です。

COPDの原因は何ですか?たばこ以外でもなりますか?

最大の原因は喫煙で、COPD患者の多くが喫煙歴を持ちます(約9割とする報告があります)。

しかし、粉じんや化学物質の吸入、受動喫煙、屋内での薪や石炭の使用なども原因になり得ます。非喫煙者の発症も報告されており、大気汚染や遺伝的要因もリスクとして注目されています。

COPDはどのように診断されるのですか?検査は痛くないですか?

診断では、問診や身体診察に加え、「スパイロメトリー」という肺機能検査が中心になります。気管支拡張薬を使用した後の検査で気流閉塞が確認され、ほかの病気が除外されることで診断します。

スパイロメトリーは、息を最大限吸ってから強く吐き出す検査で、通常は痛みを伴いません。測定にかかる時間や必要な追加検査(胸部画像など)は医療機関により異なります。

COPDは治る病気ですか?完治できますか?

COPDで生じた肺胞の破壊や気道の構造変化を、完全に元に戻す治療は現時点では確立されていません。

一方で、禁煙、吸入薬、呼吸リハビリテーション、ワクチンによる感染予防、栄養・運動管理などにより、症状の軽減、増悪の予防、生活の質の維持を目指すことは可能です。だからこそ早期発見・早期治療が重要です。

COPDの治療にはどんな薬が使われますか?副作用はありますか?

COPD治療の中心は、気管支を広げて呼吸をしやすくする吸入気管支拡張薬です。

症状、増悪歴、肺機能、喘息の合併の有無などに応じて、長時間作用性β2刺激薬(LABA)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、両者の配合薬などが用いられます。吸入ステロイド薬(ICS)はすべての方に必要な薬ではなく、増悪を繰り返す場合や、血中好酸球数、喘息の合併などを踏まえて追加が検討されます。薬の種類や副作用、吸入の手技については、主治医・薬剤師に確認してください。

COPDが悪化(急性増悪)すると、どんな症状が出ますか?入院が必要になることもありますか?

COPDの急性増悪では、急に息切れが強くなり、咳や痰の量が増えたり、痰の色が濃くなったりします。

風邪や感染症がきっかけで起こることが多く、重症の場合は呼吸困難が悪化し、救急搬送や入院治療が必要になることもあります。急性増悪を繰り返すと、COPDの進行が早まり、生活の自立度も低下してしまいます。

COPDになったら日常生活でどのようなことに気をつけるべきですか?

まず第一に、完全な禁煙が最優先です。

その上で、感染症予防のために必要なワクチンを主治医と相談して接種すること、規則正しい生活を送り、呼吸リハビリテーションや軽い運動を継続することが推奨されます。呼吸困難に備えた住環境の工夫や、ストレスをためない工夫も重要です。

COPDは命にかかわる病気ですか?余命や生存率はどれくらいですか?

COPDは進行性の病気であり、重症化や急性増悪の反復、呼吸不全、肺炎、心血管疾患などにより、生命予後に影響することがあります。

ただし、余命や生存率を一律に示すことはできません。年齢、肺機能、息切れの程度、体重・筋肉量、運動能力、喫煙状況、増悪歴、心臓病などの併存症によって大きく異なります。病期別の5年生存率を示した国内の報告もありますが、調査時期や対象によって差があり、個人の予後を直接示す数値ではありません。

禁煙、吸入治療の継続、呼吸リハビリテーション、感染予防、増悪時の早期受診を続けることが、症状と予後の改善につながります。

COPDを予防するために、今からできることはありますか?

最大の予防策は、喫煙しないこと・今すぐ禁煙することです。

すでに呼吸器症状がある方は、早期に医療機関で相談・検査を受けることが重要です。また、職業上の粉じん曝露などもリスクとなるため、防じん対策を徹底することも効果的です。日々の生活で肺を守る意識を持つことが、将来的な発症リスクの低下につながります。

COPDは何科を受診すればよいですか?

専門は呼吸器内科ですが、まずはかかりつけ医や一般内科に相談しても問題ありません。

必要に応じて、検査や専門的な治療のために呼吸器内科を紹介してもらえます。

胸部レントゲンだけでCOPDは分かりますか?

胸部X線だけでCOPDを確定することはできません。

診断にはスパイロメトリー(肺機能検査)が重要です。胸部X線やCTは、肺気腫の変化やほかの病気(肺炎、肺がん、間質性肺炎など)を確認するために行われます。

COPDの吸入薬は、一度始めたらやめられませんか?

自己判断で中止せず、主治医に相談してください。

吸入薬は継続して使うことで効果を発揮します。症状や増悪の状況、副作用などを踏まえて、主治医が薬の種類や量を調整します。

息切れがあるとき、運動してもよいですか?

医師の評価のもと、無理のない範囲で身体活動を続けることには意義があります。

ただし、運動の内容は重症度や合併症によって異なります。急に息切れが悪化したときは運動を中止し、早めに受診してください。

COPDで体重が減ってきた場合はどうすればよいですか?

低栄養や筋肉量の低下の可能性があるため、早めに医師や管理栄養士に相談しましょう。

自己流で食事を変えるのではなく、体格や栄養状態、併存症に合わせた個別の栄養管理が大切です。

在宅酸素療法が必要になるのはどのような場合ですか?

検査で血液中の酸素が慢性的に不足している(低酸素血症)と判断された場合に、医師が導入を検討します。

息切れがあるというだけで行う治療ではありません。導入するかどうかは、検査結果に基づいて医師が判断します。

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こちらの記事の監修医師

石本 修

おきのメディカルクリニック石本 修 先生

私は兵庫県の生まれです。地元の高校を卒業後に、東北大学に入学しました。その当時の大学入試システムは現在の前期後期ではなく、東日本のA日程と西日本のB日程に分かれていました。その結果、B日程の大学が不合格となり、A日程の東北大学に合格して来た関西人が同級生に多数いました。

たまたま来た仙台での6年間で、「仙台は気候がよく、食べ物も美味しく、大変住みやすいところだな」と思いました。卒業後、浜松で3年間を過ごしましたが、学生のときに気に入った仙台に戻ってきました。そして、いつの間にか地元より仙台にいる期間の方が長くなり、今や言葉も関西弁より仙台弁の方がしっくりくるようになりました。

浜松での初期研修の後、東北大学大学院に入学、呼吸器内科を中心に研鑽を積んでまいりました。青森県立中央病院での2年間を経て、仙台厚生病院呼吸器内科では12年間、いわゆる急性期病院で勤務し、呼吸器救急疾患、肺がん治療を始めさまざまな疾患の経験をつんできました。

当然のことではありますが、急性期病院では軽症の患者さんは対象ではありません。進行した状態の患者さん、重症患者さんをずっと担当してきました。残念ながら、そのような患者さんの病気を治し、救命することは非常に難しいものでした。助けられなかった患者さんや治せなかった患者さん達の顔や言葉を今でも時々思い出します。

そして、進行重症化しないようにする患者管理と治療、病気の早期発見、病気の予防も大切だと考えるようになりました。しかし、それを病院、特に急性期病院で実施することは困難でした。

病院での仕事も充実したものでしたが、もっと地域や患者さんに近いところで仕事をするため、H28年10月に縁あって若林区沖野の地で開業することとなりました。卒後20年以上の内科専門医としての経験、専門である呼吸器内科医としての技術を生かして、沖野を中心とする地域に貢献していきたいと考えております。

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