大きく分けて、A型、B型、C型の3つのタイプがあります。
インフルエンザウイルスは主に3つの種類、A型、B型、C型に分かれています。それぞれが異なる症状や進行を示します。一概に「インフルエンザ」と言っても、そのウイルスの型によって起こる病状は異なります。
インフルエンザとは、ウイルスが原因で引き起こされる呼吸器の感染症です。
日本でのインフルエンザ流行は、例年11〜12月頃に始まり、1月〜2月にかけてピークに達することが多いとされています。しかし、厚生労働省の最新データ(2023年)によれば、過去5年間の同期間と比べても感染者数が多く、各地で学級閉鎖・学校閉鎖も頻発していると報告されています。医療機関においては、今シーズンはとくに早めのワクチン接種を推奨しています。
本記事では医師に監修していただき、インフルエンザの潜伏期間、症状と流行時期、予防接種の効果・副反応についてわかりやすく解説しています。
目次
インフルエンザは、A型、B型、C型の3つのウイルスによって引き起こされる急性の発熱性感染症です。これまで国内で発生するインフルエンザは寒い季節に流行する(季節性インフルエンザ)とされましたが、近年では一年中散発的に発生しており、警戒が必要とされている感染症です。
インフルエンザウイルスに感染しても、すぐに症状は出ません。1~3日間程度の潜伏期間(感染後に体内でウイルスが増えてきている状態、症状はない)を経て、突然症状が現れます。
インフルエンザの症状は通常の風邪と異なり、急な高熱と全身に症状が強く出るのが特徴です。
冒頭でも紹介しましたが、通常、日本でのインフルエンザの流行は11〜12月に始まり、1月〜2月にかけてピークに達することが多いと考えられています。
しかし、厚生労働省が発表したデータ(2023年)によると、過去5年間の同期間と比べても早い時期からの感染が多いと報告されました。
2023年冬から2024年1月あたりにピークを迎え、2月頃にはピークアウトすると予想されます。
新型コロナウイルスにおいて、2023年5月8日以降は、5類感染症に移行しました。それに伴い、日本国内においても国際的な人の移動が再開しています。それらの状況を考慮しても、今シーズンも早めのインフルエンザワクチン接種が推奨されます。
インフルエンザは感染力は高く、人から人へとうつる病気です。
感染経路は主に、
の2つがあげられます。
飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみから飛散するウイルスを吸い込むことで感染が起こります。マスク着用によって、感染リスクを低減できます。
接触感染は、ウイルスがついた物に触れた後、口や鼻に触れることでも感染が拡大します。インフルエンザウイルスが手に付着しても、それだけで感染は起こりません。感染が起きるのは、そのウイルスが付着した手で口や鼻、目などの粘膜に触れた場合です。接触感染は、頻繁な手洗いや手指用の消毒アルコールを使用することで、接触による感染リスクを低減できます。
学校は児童・生徒等が集団生活をしている場所です。そのため、学級内でインフルエンザなどの感染症が発生した際には、感染が拡大しやすい環境にあります。場合によっては、学級閉鎖・学校閉鎖となることも少なくありません。保育園や幼稚園に通い、集団生活をしている場合は、予防接種を活用しましょう。
なお、登園は発熱後5日以上、なおかつ、解熱後3日経過すれば可能です。
学校でインフルエンザに感染した子どもが、家庭内で親御さんへ(大人へ)うつしてしまうというケースはとても多いです。とくに小さいお子さんは親御さんとの接触頻度も高くなるため、お子さんに体調の異変があった際は家庭内感染が拡大しないように注意が必要です。
インフルエンザの症状は、一般的な風邪の症状と似ているところもありますが
など、「急に高熱が出る」「全身症状が出る」というのが特徴です。
いくつかあるウイルスの種類によっては、
などの症状が出る場合もあります。
さらに子どもの場合は、熱が下がったあとに再び熱が出ることがあります。
インフルエンザの流行時期に、高熱やせきなどの症状がみられると、インフルエンザ感染が疑われます。発熱・せき・鼻水だけであれば、1日程度様子をみても問題はありません。
しかし、
などの状態の場合は、すぐに受診してください。
インフルエンザが長引くと、
などを引き起こすことがあります。
とくに小さなお子さんや高齢者の方は重症化しやすいため注意が必要です。
また、
がみられる場合は、全身状態が悪化するインフルエンザ脳炎に至る可能性があります。
特に5歳未満の幼児については
など、これらの異常行動がないかを注意して観察し、いつもと様子がおかしい場合はすぐに受診してください。
インフルエンザは、鼻水を綿棒で取る抗原検査ですぐに診断がつきます。ただし、症状が出てからすぐに受診(発熱から6時間以内程度)した場合は、早すぎて診断がつかないこともあります。
インフルエンザの基本的な治療は、十分な休息です。病院を受診すると、お薬が処方されますので、薬を飲んだらできるだけ安静に過ごすことが大切です。
高熱で辛いときには、解熱剤の使用が有効です。高熱が出ると汗をかいて、脱水症状に陥りやすい状態となるため、水分補給は欠かさずに行います。
小さなお子さんや高齢者の方はとくに、風邪と違って重症化しやすいため、より注意深く様子を見守りましょう。
※ 病院を受診した際、発症後48時間以内なら、抗ウイルス薬が処方されることもありますが、重症化やインフルエンザ脳炎を完全に防げるわけではありませんので、注意して観察を続けてください。
病院から処方された抗ウイルス薬を使用しても、熱がすぐに下がらないことがあります。熱症状は、3〜5日程度、続くこともあります。
小さなお子さんや高齢者の方で
など、これらの状況がみられる場合は、至急、再受診してください。
インフルエンザの予防に効果が期待できるのは、インフルエンザワクチンの接種(予防接種)です。
ご自身の発症予防はもちろん、家族間での感染拡大を未然に防ぐためにも、インフルエンザの予防接種が有効です。
小さなお子さんの場合は、生後6ヶ月から接種可能で、13歳未満の方は基本的に毎シーズン2回接種が推奨されます。詳しいスケジュールはかかりつけ医に相談し、流行前に受けられるようにしましょう。
一方で、インフルエンザに限ったことではありませんが、ワクチン接種には副反応がみられる場合が少なくありません。
予防接種によるメリットと、副反応などのリスクを十分に理解したうえで、予防接種を検討するようにしましょう。
予防接種を受けるとインフルエンザにかかりにくく、感染しても肺炎や脳症などの重症化を防ぐ効果が期待されています。
ご年配の方自身が予防するだけでなく、一緒にお住いの家族にご高齢の方がいるという方は、予防接種によって感染拡大を未然に防ぐことも大切です。
また、低月齢の赤ちゃんがいるというご家庭は、パパ・ママも接種して予防を心がけましょう。
個人差はありますが、ワクチン接種後に
がみられる場合があります。
ワクチン接種を受けられた患者さんの10~20%に認められますが、通常は2~3日程度で消失します。
また人によってはアレルギー反応もみられます。
主なアレルギー反応は
などがあげられます。
これらの副反応のほとんどが、接種から24時間以内に出現すると考えられています。この間はとくに体調の変化に注意が必要です。
インフルエンザの予防は、ワクチン接種だけではありません。
など、インフルエンザに感染しないための予防対策はたくさんあります。
インフルエンザが流行している時期には、できるだけ人混みを避けることを心がけましょう。もし外出される際は、マスクの着用を。人混みや密閉された場所でのマスクの着用は、飛沫感染を防ぐ助けになります。
帰宅後は手洗いを忘れずに行いましょう。また部屋の空気をこまめに入れ替えることで、ウイルスの濃度を低減することができます。
健康的な生活習慣を送ることは、免疫力を高める助けになります。
を心がけてください。
流行時期に入る前はとくに注意して、日々の体調管理の見直しを図りましょう。
大きく分けて、A型、B型、C型の3つのタイプがあります。
インフルエンザウイルスは主に3つの種類、A型、B型、C型に分かれています。それぞれが異なる症状や進行を示します。一概に「インフルエンザ」と言っても、そのウイルスの型によって起こる病状は異なります。
A型インフルエンザは、他の型に比べて症状が非常に強いのが特徴のひとつです。
一般的に「インフルエンザ」とイメージする厳しい症状がこのa型でよく見られます。通常、一度感染すると体がそのウイルスに対する免疫を作りますが、A型は急速に進化し、以前に獲得した免疫が効かなくなることがあります。そのため、ワクチンの効果予測も難しいとされています。
以上がA型インフルエンザ感染時の症状とリスク要因です。
B型インフルエンザは、A型ほど大規模な流行は多くありません。
b型インフルエンザは近年、毎年のように流行していますが、A型ほど大規模な流行は少ないとされています。
以上が特徴としてあげられます。
人々が過去に接触したことのない、または抗体を持っていないインフルエンザウイルスの変異形です。
一度C型インフルエンザに対する免疫を獲得した場合、その免疫は一生持続すると考えられています。再感染が起きても、その症状は通常の風邪と区別がつかないほど軽い場合が多いです。
など、ほとんどの成人が既に感染して免疫を持っているので、感染リスクは低いと考えられます。
人々が過去に接触したことのない、または抗体を持っていないインフルエンザウイルスの変異形です。
新型インフルエンザウイルスとは、私たちがこれまで接触したことのない、または抗体を持っていないインフルエンザウイルスの変異形です。この新型ウイルスが出現すると、人々はそのウイルスに対する自然な免疫がないため、大規模な流行(パンデミック)が起きる可能性があります。
このインフルエンザウイルスの型に該当するのが「A型」のインフルエンザウイルスです。感染後は体内でどんどん進化するので、新型のウイルスが次々にできてしまいます。そのため、流行前に作られたワクチンが対象にしていたウイルスと、構造が大幅に異なる可能性があります。
つまり、一度A型インフルエンザのあるウイルスに対してワクチンができても、ウイルスが他の個体や、ときには別種の動物から発生したウイルスと結合し、より強い病原性を持つ新しいウイルスになってしまう可能性があるということです。
毎年、厚生労働省指導の元、そのシーズンに流行が予測されるウイルスに合わせて、インフルエンザワクチンが製造されています。予測技術は高まってきているものの、上記記載の通りウイルスはどんどん進化し、製造されたワクチンが対象にしていたウイルスとは別のウイルスに進化してしまうこともあります。
とくに近年話題になったもので、世界的に流行し、致死率の高さなどで非常に恐れられた「鳥インフルエンザ」「豚インフルエンザ」なども、A型インフルエンザウイルスに含まれます。
二宮内科クリニック二宮 一見 先生
当クリニックは平成10年5月に盛岡市愛宕町に開業しました。
一般内科診療はもちろんのこと、糖尿病などの生活習慣関連病、膠原病・リウマチ疾患を専門とするクリニックです。
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