気象病とは?気圧の変化で起こる体調不良、頭痛・耳が痛い原因を解説
この記事は、気温差・気圧の変化・天気によって体調不調を起こしやすい方に向けて書いています。心当たりのある方は、ぜひご覧ください。
天気が変化しやすい梅雨時や、どんよりとした曇りの日が増えてくる梅雨入り前に、自律神経が乱れ、さまざまな症状を引き起こしやすくなります。このような病態を気象病といいます。
本記事は医師監修のもと、気象病はなぜ起こるのか?気圧の変化による体調不良、頭痛・耳が痛い原因を解説しています。
気象病とは?天候が悪い日に起こる不調
気象病とは、季節の変わり目や台風などの悪天候の日に起こる体の不調や気分の落ち込みなどの精神的な不調が起こる病態です。気象病の症状が現れることが多いのは、春や秋に低気圧が頻繁に訪れる時期、または梅雨や台風が発生する時期です。
季節の変わり目に起こる体の症状
- 頭痛・耳の痛み
- 肩こり・首の痛み
- 吐き気
- だるさ
- 動悸
- 関節痛、手足のしびれ
など
悪天候の日に起こる精神的な不調
- 気分の落ち込み、うつ
- イライラ
- 集中力が持続しない
など
気象病の原因は気圧の変化
気象病による体調不良は、耳の鼓膜の奥にある内耳という「気圧の変化を感知する器官」が過敏にはたらいてしまうことで起こります。
気圧が大きく変化すると内耳は脳に信号を送って自律神経が活発になります。しかし、この内耳が敏感に反応しすぎてしまうと、わずかな気圧変化でも脳に過剰な情報を伝達してしまいます。
自律神経のバランスが乱れると、体の痛みの神経を直接的な刺激や、血管の過度な拡張・収縮が周囲の神経を刺激し、これがさまざまな不調を引き起こします。
引き金となるのは気圧の変化だけではなく、湿度や温度変化にも自律神経に影響を及ぼします。とくに、雨が降る時や、台風の接近に伴って気圧が低下するときは、不調を感じる方が増える傾向にあります。夏の終わりから秋にかけての台風シーズンや、冬に日本の南部を低気圧が通過する時期は、体調の変化に注意が必要です。
その影響度合いは人それぞれですが、とくに敏感な性格の方や、精神的なストレスを感じやすい方が気象病になりやすいといわれています。
自律神経とは
「自らを律する」という名の通り、自律神経は自分の意思とは関係なく、自動的に制御される神経です。たとえば内臓のはたらきや代謝・体温調整、寝ているときの呼吸や心臓が鼓動するのは、この自律神経が体の機能を維持して全身を操っているためです。
自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあります。交感神経は、わたしたちが活動しているときにはたらきが強くなります。一方、副交感神経は睡眠中やリラックスした状態のときに優位にはたらきます。この2つの神経がバランスを取りながら恒常性を維持するための調整を担っています。
一方で、この自律神経は
- 精神的なストレス
- 不規則な生活
- 過度の飲酒、喫煙習慣
- 疲れ(過度な体への負担)
などの影響を受けて、オーバーヒートしてしまうことがあります。交感神経と副交感神経のどちらか一方だけが極端に優位になりすぎると、自律神経のバランスが崩れた状態といえます。
自律神経が乱れるとさまざまな症状が現れます。とくに持病や気になる疾患がある方は要注意です。自律神経の乱れによって、症状が悪化する可能性があります。
気象病の治療
気圧の変化に対して内耳が敏感に反応してしまうのを抑えられれば、症状の軽減、改善につながります。
たとえば天気が変化しやすい梅雨時や、どんよりとした曇りの日に、その予兆としてめまいの症状がおこるという方は、そのタイミングで抗めまい薬を服用すると症状が軽減できます。抗めまい薬には、内耳の血流を改善する効果があり、内耳の状態が良好になります。
そのほかにも、
- 苓桂朮甘湯
- 白朮天麻湯
- 五苓散
- 抑肝散
などの漢方薬が合う場合もあります。
たとえば、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)という漢方には、抗ストレス作用や血流促進などの効果がある桂皮(ケイヒ)という生薬が含まれています。のぼせや動悸、急な頭痛、下半身の冷えなどにお困りの方におすすめです。抑肝散(よくかんさん)という漢方は、気分や感情が不安定になる症状、不眠などにも効果が期待できます。
漢方薬は、体の弱っている部分を補い、体全体のバランスを調整することで、人間が本来もっている自然治癒力を高め、症状を改善させるために用いられます。中には市販薬として販売されている漢方薬もありますが、はじめは薬剤師に相談したり、漢方薬の専門医を受診するようにしましょう。
ただし、抗めまい薬も漢方薬も、気象病の根本的な要因となる持病を治すものではありません。その場合は、それぞれの持病にあった適切な治療が必要です。
こちらの記事の監修医師
ちば耳鼻咽喉科クリニック千葉 隆史 先生
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