腎盂腎炎の治療には、泌尿器科、内科、腎臓専門医などがいる医療機関を受診しましょう。
一般的には、腰痛や発熱、尿の異常などの症状が現れた場合は、まず内科やかかりつけの医師に相談することが推奨されます。 その後、尿検査や血液検査、超音波検査などの検査を行い、腎盂腎炎かどうかを確認します。
専門的な治療が必要となる場合は、泌尿器科や腎臓専門医の診療を受けることが推奨されます。最適な治療法を選択するために、医師の指示に従って適切な診療を受けるようにしましょう。
腎盂腎炎(じんうじんえん)とは、腎臓の腎盂(じんう)という部分にばい菌が増殖して炎症が起こる病気です。
20〜30歳代の若い女性に多く発症する傾向があり「腎盂腎炎をネットで調べると『やばい病気』と書かれていたから不安になって…」という患者さんも多くいらっしゃいます。
本記事では、腎臓の診察をしている医師に監修していただき、腎盂に炎症が起こる腎盂腎炎(じんうじんえん)という病気の前触れとなる症状と原因、女性に多く発症する理由を解説しています。
目次
腎臓は血液中の不純物をろ過して尿を生成し、体外に排出する役割を担っています。
腎盂腎炎(じんうじんえん)とは、尿道から侵入した細菌によって、腎臓にある腎盂(じんう)という部分に炎症が起こる病気です。このように尿路に細菌が住みついて増殖し炎症を起こす病態を「尿路感染症」といいます。
尿路感染症は感染が起こる場所によってその病名が異なり、腎盂に炎症がみられると腎盂腎炎と診断されます。
腎盂で起こった炎症は、やがて尿を作る機能を担う腎実質までにも及び、さらに病態が進行すると腎機能全体に支障をきたします。
この病気は、20〜30歳代の若い女性に多く発症する傾向があるため注意が必要です。
腎盂腎炎は、
この2つに大別されます。
ほとんどの場合が急性腎盂腎炎ですが、十分に治療をしなければ慢性腎盂腎炎に移行する可能性があるので適切な治療が必要です。
急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎、それぞれ特徴や症状が異なりますので、本記事では2つに分けてその特徴を解説します。
あらためて腎盂(じんう)についてわかりやすく解説します。
腎臓は胃や腸と同じお腹にある臓器ですが、消化や吸収の働きをもつ消化器ではなく、泌尿器に分類されます。腎臓内では血液がろ過されて、老廃物や過剰な水分・塩分などの不要となったものだけを取り除きます。それが尿となって、体外へと排出される仕組みです。
そのほか、血圧の調整や赤血球の生成、骨の成長に関係するホルモンの分泌まで、幅広い機能をもつのが腎臓の特徴です。
腎臓は主に2つの構造でできています。
1つは腎実質(じんじっしつ)という中身が詰まったいわば「実」の部分です。腎実質は、皮質と髄質(腎錐体)によって成り立ちます。ここは血液を濾過してきれいにするところで、体に不要な水分と成分を含む原尿をつくります。
もう1つは、腎実質で作られた原尿を一時的にためて溜めておく漏斗状(ろうと)の部分、これが腎盂(じんう)です。
尿を運び出す経路は「腎杯・腎盂・尿管」からなります。腎杯は枝分かれした先端部で、腎乳頭にはりついて尿を受け取ります。複数の腎杯が集まって広くなった場所が腎盂です。ここから腎門とよばれる出口に向かって細くなり、尿管へと繋がります。尿管は膀胱に続き、尿を運んでいきます。
急性腎盂腎炎は、悪寒をともなう高熱が急激に発症します。夕方から夜間にかけて熱が上がっていき、朝には熱が下がるものの、夕方から再び熱が上がることがあります。
発熱に伴い頭痛の症状がでたり、ガタガタと震えるような寒気や冷や汗が出たりする場合は、単なる風邪の症状と自己判断せずに、この病気を疑いましょう。
また、
など
いわゆる「おしっこのお悩み」を抱える方が多いです。
そのほか、
など、さまざまな症状を伴う場合もあります。
また急性腎盂腎炎の症状で特徴的なものとして、腎臓は背中寄りに位置する臓器なので、背中の左右肋骨の下付近を軽く叩くと、片側だけ痛みが出ることがあります。これをCVA(肋骨脊柱角)叩打痛といいます。
腎盂腎炎はどちらか片方の腎臓だけに発症することが多いため、左右の背中を優しくたたいて、痛みの違いをチェックしましょう。
急激に発症する急性腎盂腎炎は、早期に適切な治療を受ければ比較的早く症状が改善します。
急性腎盂腎炎と診断されたら、病態が慢性化しないように完全に治すようにしましょう。
慢性腎盂腎炎は目立った自覚症状がなく、徴候が曖昧で一貫しない場合が多いです。
たとえ症状があっても軽い腰痛や微熱程度で、見逃してしまうことも少なくありません。食欲不振や倦怠感などが現れる程度の方もいらっしゃいます。
一方で、慢性腎盂腎炎の原因が膀胱尿管逆流(膀胱にたまった尿が尿管や腎臓に逆戻りすること)である場合は、慢性的に腎盂腎炎をくり返すことで腎臓の機能が著しく低下してしまうことがあり、注意が必要です。
急性腎盂腎炎は細菌感染によって起こります。感染のもっとも多い病原菌は大腸菌で、全体の約90%を占めます。
腎盂腎炎のほとんどは、尿道の出口から侵入した細菌が尿路をさかのぼり、腎盂に達することで発症します。尿道から膀胱、膀胱から尿管、そして尿管から腎盂へという順番で、細菌がさかのぼっていくイメージです。これを上行性感染といいます。
そのほか、血液を経由して他の臓器から細菌が侵入する血行性感染、男性であれば前立腺などの周囲にある病巣から感染が起こるリンパ行性感染などがあります。
本来は尿路に細菌が侵入しても、排尿によって体外へ洗い流されるようになっています。また、免疫力によって細菌は退治されるため、そう簡単には腎盂腎炎が起こることはありません。
一方で、以下のような危険因子がある場合、急性腎盂腎炎を発症しやすくなります。
腎盂腎炎を発症する危険因子としては、以下のようなものが挙げられます。
尿路の閉塞
前立腺肥大症や尿路結石、尿道狭窄症など、排尿障害がある場合は、尿路感染症が起こりやすくなっています。
全身疾患や尿路異常が関与しない腎盂腎炎を単純性腎盂腎炎と呼びます。急性腎盂腎炎の大半はこの単純性のタイプに該当します。
炎症が慢性的に繰り返される慢性腎盂腎炎は、急性腎盂腎炎が長引いたり繰り返されて慢性へと変わるケースもあれば、はじめから慢性で病態が進行するケースも存在します。
通常、細菌が尿路に侵入しても、排尿によって外に出されるか免疫システムによって排除されるので、腎盂腎炎が簡単に発症するわけではありません。しかし、基礎疾患(前立腺肥大、神経性膀胱、尿路の結石や悪性腫瘍、カテーテルの使用、または糖尿病やステロイド服用による全身的な感染症リスクなど)があると、繰り返し腎盂腎炎が起こる可能性が高まります。尿路結石やカテーテルといった異物は細菌の増殖を促し、再発しやすいため、これらを除去する治療が行われることが多いです。
このように、もともと尿路に何らかの疾患がある方や、糖尿病や悪性腫瘍によって免疫が低下している患者さんが発症する慢性腎盂腎炎を「慢性複雑性腎盂腎炎」といいます。
腎盂腎炎の診断には、主に尿検査・血液検査・画像診断(超音波検査、腹部造影CT)を実施します。
以上のように、症状や検査結果を総合的に判断し、腎盂腎炎の診断が行われます。
早期の診断と治療が重要なため、症状が現れた場合は早めに医師に相談しましょう。
腎盂腎炎は以下のような方法で治療を進めます。
腎盂腎炎は早期治療が重要です。治療が遅れると、敗血症や腎不全などの合併症が発生する可能性があります。
症状が出た場合は、早めに医師の診察を受け、適切な治療を受けることが大切です。
腎盂腎炎を予防するために、以下のようなことを心がけましょう。
腎盂腎炎は早期発見・早期治療が重要です。症状が出た場合は、適切な治療を受けるためにも早めに医師に相談しましょう。
腎盂腎炎の治療には、泌尿器科、内科、腎臓専門医などがいる医療機関を受診しましょう。
一般的には、腰痛や発熱、尿の異常などの症状が現れた場合は、まず内科やかかりつけの医師に相談することが推奨されます。 その後、尿検査や血液検査、超音波検査などの検査を行い、腎盂腎炎かどうかを確認します。
専門的な治療が必要となる場合は、泌尿器科や腎臓専門医の診療を受けることが推奨されます。最適な治療法を選択するために、医師の指示に従って適切な診療を受けるようにしましょう。
一般的には2週間から4週間程度が必要です。
腎盂腎炎の治療期間は、病気の進行具合や治療の方法によって異なりますが、急性腎盂腎炎の場合、抗生物質の投与によって細菌感染を治療し、発熱や腰痛などの症状が改善されるまで2週間から3週間程度の期間が必要となります。その後も、完全に治癒するまでには、さらに1週間から2週間程度かかることがあります。
慢性腎盂腎炎の場合、症状は軽くなることが多いため、治療には長期的な投薬が必要となることがあります。また、慢性腎盂腎炎は腎機能の低下を招くことがあるため、定期的な尿検査や医師の指導の下で適切な治療を行うことが重要です。
腎盂腎炎は感染症の1つですが、周囲にうつるというタイプの病気ではありません。
ペアライフクリニック横浜院永井 良 先生
ペアライフクリニックは自由診療の性感染症内科です。
当院は「性病を減らす」ためにクリニックをオープンしました。
性感染症でお悩みの患者さまは様々な事情を抱えてご来院されます。どこよりも患者さま思いのクリニックを作ることで、全ての方に行って良かったと思ってもらえるクリニックづくりを日々取り組んでおります。
性感染症は、一般的な風邪やケガと違い他人に相談や共有しにくい病気です。また実際にクリニックに行くとなった際に様々な不安を抱えるかと思います。
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