かゆくない水虫とは?原因と対策、足や爪に感染する白癬菌と症状を画像で解説
毎日しっかりとお風呂に入り、足を不衛生にした覚えがなくても、気づけば水虫にかかっていることがあります。
水虫の患者さんは全国でおよそ2500万人と推定されています。5人に1人ほどの割合で罹患されている計算になり、いかに身近な病気であることがわかります。
水虫は比較的、高齢層の男性に多いイメージがあるかと思いますが、実際は女性にも同様に起こる病態であり、どの年代にも幅広くみられます。
本記事では、皮膚科の専門医に監修していただき、水虫の原因と対策、足や爪に起きる症状を画像で解説しています。
目次
水虫とは?原因は白癬菌への感染
水虫は正式には白癬(はくせん)といいます。白癬菌(はくせんきん)という菌が、皮膚の一番外側の角質層に増殖する感染症です。足なら足白癬(足の水虫)、爪なら爪白癬(爪水虫)とよばれます。
白癬菌は足にもっとも感染しやすく、日本人の約2割、5人に1人は足白癬(足の水虫)であると考えられ、国民病といわれています。
白癬菌(はくせんきん)とは?- 生息場所
白癬菌は真菌(カビ)のなかまです。髪の毛やホコリ・アカなどにまみれていることが多いため、部屋や階段の隅など、ゴミがたまりやすい場所に白癬菌も生息しています。
さらに白癬菌にとって居心地の良い場所となり得るのがわたしたちの皮膚です。白癬菌が生きていく上では、栄養源となる窒素が欠かせません。空気中や土の中など、自然界には窒素がたくさん含まれていますが、白癬菌は皮膚の角質や爪の成分であるケラチンというタンパク質を栄養源にして増殖することができます。
また、白癬菌は高温多湿の環境を非常に好むという特性があります。実際、足の水虫(足白癬)がもっとも感染しやすい部位としてあげられますが、これは白癬菌の特性による影響が大きく、とくに靴を履く時間が長いほど蒸れやすい(高温多湿になりやすい)ため、水虫が起こると考えられます。白癬菌は足以外にもケラチンのある所なら体のどこにでも感染する可能性があるため注意が必要です。
水虫(足白癬)の症状 – セルフチェック
水虫(足白癬)の主な症状としては、
- 水ぶくれ
- 皮がむける
- ひどいかゆみ
- 赤み
などがあげられます。
水虫の症状 – かゆみ無し
一般的に、水虫は足がかゆくなると思われがちですが、実際のところはかゆみをともなうのは、全体の10%程度といわれています。むしろかゆみのないケースが多いのです。そのため、かゆみ以外の症状を知っておくことが大切です。
以下のセルフチェック項目をご参考ください。かゆみがないからといって、見逃さないように注意しましょう。
- 足の指の間の皮がむける
- 足指の皮膚がふやけて白くなっている
- 足の裏や指の間に小さな水疱ができている
- 足裏やかかとがカサカサしている
- 足裏やかかとの皮膚が厚く硬くなっている
- かかとにひび割れができて痛むが、かゆみはない
など
これらはすべて、白癬菌が角質層に感染して皮膚の炎症が生じることで起こる症状です。
水虫が起こりやすい場所
足の指の間 | もっとも発症しやすいため、足指の間を広げて肌の状態をチェックしましょう。 |
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足の裏・指の付け根 | 小さな水ぶくれができることが多いです。 かゆみの症状がないため、見過ごされることが多いです。 |
かかと | 粉をふいたようにカサカサな状態になっている場合は、注意が必要です。 かゆみ等、水虫らしい症状がなくとも感染している場合があります。 |
片足だけ水虫らしき症状がある
足白癬は左右非対称の症状、つまり片足からはじまることも多いです。進行すると、やがて両足に広がります。
片足に症状がみられたら、もう片方の足にうつる軽症のうちに皮膚科を受診してください。
水虫(足白癬)の感染経路
すでに白癬菌に感染した方が靴を脱いで裸足になれる場所であれば、この菌はどこにでも生息しています。
水虫の患者さんの家の中であれば、スリッパやバスマット、畳やフローリングの床にも散布している可能性は高いため、家族に水虫の方がいると感染してしまうことが多いです。
また同様に、多くの人が裸足で出入りするプールやスポーツジム、ゴルフ場などの脱衣所をはじめ、靴を脱いで足を下ろせる居酒屋の床などからも白癬菌は見つかります。出入りされている方は、感染リスクがあります。
一方で、白癬菌がたとえば手足の皮膚に付着しても、皮膚の表面に付着しているだけなら水虫は起こりません。15分も裸足で過ごせば、自然に落ちてしまいます。また、白癬菌が付着しても、洗ったりタオルでぬぐったあとで足を乾かすなどすることで感染を防ぐことができます。
ただし、白癬菌が皮膚に付着してから12〜48時間ほど高温多湿の状態でいると、白癬菌はケラチンを溶かす酵素を出して増殖しながら、角質層に入り込んでいきます。
さらに足の皮膚が湿って角質がふやけたり、傷があったりすると、白癬菌はさらに皮膚に侵入しやすくなります。
水虫(足白癬)の検査と治療
白癬菌に感染しているか(水虫か)どうかを調べるためには、皮膚科で診察します。皮膚や爪の一部を採取して、それを顕微鏡で確認し、白癬菌の有無を検査します。早ければ数分で菌の有無が判定できます。白癬菌が確認できれば、水虫と診断されます。
水虫(白癬菌の感染)の治療には
- 内服薬
- 外用薬
があります。
外用薬の種類も、
- 軟膏タイプ
- クリームタイプ
- ローションタイプ
- ゲルタイプ
など、さまざまな剤型があり、患者さんの症状に合わせて処方されます。
また、患者さんの基礎疾患や合併症によっては処方されるお薬や注意事項も異なりますので、医師の指示に従って適切に治療を進めましょう。
白癬菌感染の中でも感染者が多い足白癬(足水虫)は、皮膚の角層のみの感染なので、抗真菌作用のある外用薬を正しくつければ症状は改善します。
水虫(足白癬)が治るのにどれくらいかかる?
水虫(足白癬)の場合、抗真菌薬の塗り薬を1日1回を目安に毎日欠かさず塗ります。2週間ほど塗れば症状が治っていることも多いですが、ここで治療を中断すると完治出来ないため注意が必要です。皮膚の角質の中では、まだ菌が生存している可能性が高く、しばらくするとまた症状が再発したりさらに悪化したりすることも少なくありません。
症状が良くなってからも、最低1ヶ月程度は塗り続けます。薬をやめる時期は自己判断せずに、必ず医師と相談して決めることが大切です。
水虫(足白癬)の治療薬の正しい塗り方
お薬の塗り方にも注意が必要です。
- 片足で人さし指1関節分ぐらいの量の薬を、指にとる。
- 薬を「足先・土踏まず辺り・かかと」にそれぞれ1/3量程度おく。
- 足裏全体に、薬を満遍なく塗る。
- 足指の間に伸ばしながら塗る。
- 爪から足先、足底や側面まで伸ばしながら塗る。
- かかと・くるぶし・アキレス腱のあたりまで塗る。
このように足全体にかけてまんべんなく塗っていきます。部分的ではなく、全体に塗るのがポイントです。両足にしっかり塗りましょう。
飲み薬による治療が推奨されるケース
- 角層が厚くなっている角質増殖型の水虫
- 髪の毛や爪に白癬菌が寄生している場合
上記のケースで、外用薬での治療効果が不十分なことも多いです。その場合は、内服薬(飲み薬)による治療が選択されます。
水虫(足白癬)のよくあるご質問
水虫(足白癬)は子どもにもうつりますか?
家庭の中に水虫の方がいれば、うつる可能性はあります。
家庭内に水虫のある人が1人でもいれば、やがて家族にも感染してしまいます。全員がきちんと治療を受けることが最大の予防です。
一方で、子どもは大人よりも比較的、感染しにくいと考えられています。白癬菌への感染は長時間足に菌が付着した状態にあることで起こります。子どもは裸足で走り回ることが多いため、足に白癬菌が付着しても脱落しやすいです。結果、水虫(白癬菌感染)が起こりにくいとされています。また、子どもは角質の新陳代謝が大人よりも盛んに行われるという点も、菌が増殖しにくい理由のひとつとして考えられます。
こちらの記事の監修医師
前田皮膚科クリニック前田 文彦 先生
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