子宮筋腫がある方すべてに自覚症状があるわけではなく、過半数以上の方は無症状であるといわれています。そのため、子宮筋腫ができても初期の段階では気付かない方がたくさんいらっしゃいます。
一方、子宮筋腫が大きくなるにつれて、あるいは発生場所によってさまざまな症状が現れます。
もっとも多い症状は、過多月経です。痛みの症状としては下腹部痛が多く、ときには腰痛に悩まされることもあります。その他、便秘や頻尿などにも要注意です。
子宮筋腫による過多月経
子宮筋腫でもっとも多い症状です。 子宮筋腫が子宮内膜を押し上げて子宮内膜の表面積が広くなり、はがれ落ちる内膜の量が増えると考えられています。
月経期間は普通でも、出血量が多い月経が、10日以上続く レバーのような大きな血のかたまりがたくさん出る という場合は、早めに受診しましょう。 また、出血量が多くなることで起こる貧血(鉄欠乏性貧血)にも注意が必要です。
子宮筋腫による不正出血
粘膜下筋腫によって表面から持続的に出血が起き、月経以外にも出血(不正出血)がみられることがあります。過多月経同様に、不正出血による貧血(鉄欠乏性貧血)にも注意が必要です。
子宮筋腫によるおりもの異常
粘膜下筋腫があると、その表面をおおっている子宮内膜にただれができることがあります。 そこから水のような分泌物が出るようになり、水っぽいおりものが増えます。
子宮筋腫による月経困難症・下腹部痛(腰痛)
子宮筋腫による痛みは、下腹部痛がほとんどです。ときに腰痛を発症することもあります。
月経の際に下腹部痛をはじめ、腰痛や頭痛、発熱な吐き気などの症状が現れ、日常生活に支障が起こるほど強くなることがあります。月経のときに痛みが強くなる方もいれば、月経以外の時期に下腹部痛に悩まされる方もいらっしゃいます。
痛みの強さは人それぞれで、陣痛のように激しい痛みを感じる方や、鈍い痛みが起こる方がいます。
子宮筋腫による便秘やおしっこのお悩み
子宮筋腫が直腸を圧迫すると、便の通過が妨げられ、便秘になります。また、膀胱を圧迫すれば膀胱の容量が小さくなり、尿の回数が多くなる頻尿になることがあります。尿道が引っ張られるように圧迫されると、尿失禁や尿が出ない尿閉になる場合もあります。
子宮筋腫と不妊
子宮筋腫があると、ない人よりも不妊率が高くなることがわかっています。粘膜下筋腫や筋層内筋腫のために、子宮の内膜がでこぼこしていると、受精卵が着床しにくく、うまく着床しても流産しやすくなります。ただし、子宮筋腫があっても妊娠する方はたくさんいらっしゃいます。
子宮筋腫による下腹部のしこり・性交痛
子宮筋腫がかなり大きくなると、仰向けの際に下腹部に固いしこりが分かることがあります。
また、性行為時に陰茎(ペニス)が挿入される際、子宮が動かされたときに痛みを感じることがあります。