血痰の原因となる病気は
- 呼吸器感染症
- 腫瘍(肺がん、喉頭がん、咽頭がん など)
- 副鼻腔炎、鼻出血
- 声帯麻痺
などがあげられます。
痰に血が混じる原因で多い、呼吸器の病気を中心に解説します。
気管支拡張症による血痰
気管支拡張症は、気道の炎症を繰り返すことで、気管支の壁が壊れて広がり、元に戻らなくなる病気です。細菌などでさらに炎症が起こりやすくなり、肺の機能も低下していきます。
肺結核による血痰
結核菌が肺に感染したことで起こる病気を肺結核といいます。結核菌は空気感染によってうつります。
感染すると、発熱や咳、痰の症状が現れます。二週間以上長引く咳の症状が目立つ場合は、肺結核を疑います。咳が出ると、気道や気管支が咳で刺激されて傷つくことがあります。そこから出血すると、血液が痰に混じって、赤色の痰になります。
複数の抗結核薬を服用することで、結核の症状を緩和することができます。肺結核が治れば、血痰も出なくなるので心配ありません。
肺炎による血痰
肺に炎症が起きる病気の総称を、肺炎といいます。肺炎は細菌などの微生物の感染によって起こるものと、細菌以外の微生物によるものかによって分類されます。
肺炎の典型的な症状は、咳・痰・呼吸困難とった肺にあらわれる症状、発熱、それに伴う全身症状(悪寒、頭痛、関節痛・筋肉痛、倦怠感)があげられます。病態が悪化して重症な肺炎になると、痰に血が混じることがあります。
肺炎はとくに高齢者にとって命に関わることも多い重大な病気です。肺炎が疑われる場合は、早急に肺炎の原因を明らかにして、適切な治療を開始することが大切です。
肺水腫による血痰
肺水腫とは、肺胞をとりまく毛細血管から水や血球の成分がしみ出して肺胞内に溜まり、肺が水浸しになってしまう病態です。陸上にいるのにも関わらずまるで溺れているような状態で、肺でのガス交換が十分にできないため、やがて呼吸不全に陥ります。
肺水腫では呼吸困難やチアノーゼ(皮膚が紫色や暗赤色にみえること)のほか、ピンク色の泡状の痰が出ます。これは肺胞内に血液成分と空気が混ざるために起こります。
肺水腫は心臓病によるものが多いですが、腎臓病や肝臓病が原因となることもあります。これらの肺水腫の原因になっている病気の症状も伴います。早期にそれらの治療をはじめることが大切です。
肺がんによる血痰
肺にできる悪性腫瘍を肺がんといいます。肺がんの症状は特徴的なものがありません。咳、痰・血痰、喀血、喘鳴など、呼吸器症状としてはありふれたものが多く、がんのタイプによっては初期症状に乏しいものもあります。
肺がんの最大の危険因子は喫煙です。喫煙者で呼吸症状が続いている方は、一度、検査することをお勧めします。