身に覚えのないあざの原因は?女性や高齢者に多い皮膚病を解説
皮膚の一部が、周りの状態と比べて色が違って見える「あざ」。身に覚えのない「あざ」がなかなか治らなくて、気になることはありませんか?
うっかりぶつけてしまい、腕や脚にあざができてしまうことがあります。そのように、傷めた原因が明確なあざの多くは健康に害を及ぼさないものですが、身に覚えのないあざの背景には、注意すべき病気が潜んでいる可能性もあります。
本記事では、皮膚科専門医に監修していただき、身に覚えのないあざの原因と、女性や高齢者に多い皮膚病を解説しています。
目次
あざ とは?青あざ・茶あざ・赤あざ・黒あざ
「あざ」とは、皮膚の傷口はないものの、その下にある血管が傷ついて起こる内出血です。色によって青あざ・赤あざ・茶あざ・黒あざなどと呼ばれることがあります。
何かにぶつけたときに生じる内出血を打撲(だぼく)といいますが、そのままにしていても自然に治るので心配ありません。
一方で、ぶつけた記憶がないのにあざができているような場合には、病気が原因のこともあるので注意が必要です。
あざができやすい原因として何らかの病気が背景にあれば、ほとんどが血液検査を受ければ診断できます。気になる方は、かかりつけ医に相談してください。
あざは、何科を受診する?
あざは皮膚科で診察できます。子どもの場合は小児科で問題ありません。
血管内科でも、あざの検査が可能ですが、お近くに血管内科を標榜する医療機関がない場合は、かかりつけ医を受診して問題ありません。血液検査等を実施し、精密検査が必要と判断された場合は、総合病院や専門の医療機関を紹介してもらえます。
女性に多い身に覚えのない「あざ」- 単純性紫斑
皮膚に現れる赤紫色~暗褐色のあざです。あざの原因となる病気が特定できない場合に、単純性紫斑という診断がつきます。
点状出血とよばれる小さな点のようなあざがたくさんできることもあれば、斑状出血というやや大きいあざが複数できることもあります。
20〜40歳代の若い女性の脚や腕によくあらわれることが多く、ぶつけたり転んだりといった理由がなく生じます。危険な病気というわけではなく、ごくありふれたあざのひとつといえます。安静にしていれば、数日で自然にあざが消えていきますので、心配はいりません。
毛細血管の壁が弱いため、自覚のない軽い刺激でも出血してしまうことがあります。また、過労や月経で紫斑が現れやすいため、ホルモンの血管への影響が考えられています。
高齢者に起こりやすい「あざ」 – 老人性紫斑
加齢によって皮膚や血管が弱くなると、軽くぶつけただけでも血管が傷ついて内出血が起こりやすくなることが多いです。このようなあざを、老人性紫斑(しはん)といいます。老人性紫斑は、とくに心配のいらないあざです。
血管はもともと、ある程度の弾力性があります。血管周囲をほかの組織によって覆われることで、外部からの衝撃から守られています。しかし、年齢を重ねるとともにこれらの防護作用は低下していき、擦れた刺激のようなちょっとした外力でも簡単に内出血を起こすようになります。
これらは加齢によって起こる生理的な現象といるものなので、受診する必要はとくにありません。時間がたてば、自然に消えていきます。
また時にあざの症状が繰り返すこともありますが、重篤な合併症をきたすような皮膚疾患ではありません。
薬の副作用による「あざ」
血小板や凝固因子の機能が低下すると、出血や内出血が生じやすくなり、青あざができやすくなります。その要因のひとつが薬の影響です。
心筋梗塞や脳梗塞などの治療で使われる血液を固まりにくくする薬を使っていると、血液がサラサラになる一方、その副作用のひとつとして、あざができやすくなることがあります。
しかし、これは一般的な副作用で大きな問題はありません。
そのほか、副作用と思われる気になる症状がある場合は、早めにかかりつけ医に相談してください。
病気が原因となる「あざ」- 皮膚病変の写真
細かな斑点状のあざができる
小さな赤いポツポツとしたあざが複数できる皮膚疾患に、
- 血管炎
- 血小板減少症
があります。
血管炎とは、全身の血管のどこかに炎症が起きる病気です。皮膚をはじめ、さまざまな組織や臓器が侵されます。
血管炎のもっとも特徴的な皮疹は紫斑です。紫斑、紅斑に加えて、血液を含んだ水ぶくれである血疱などを伴う場合には血管炎が疑われます。
血小板減少症は、出血を止める働きをする血小板が少なくなる病気で、そのはじめの徴候として現れるのが皮膚の内出血です。膝からくるぶしまでのあたりに小さな赤い斑点(点状出血)状の皮膚病変が多数みられます。また、ちょっとした打撲によって、あざ(斑状出血または紫斑)が広がることがあります。
足の親指のつけ根が赤く腫れる
足の親指のつけ根あたりが赤く腫れる状態として、痛風があげられます。皮膚の症状だけでなく、ときに激痛を伴うのが痛風の特徴です。また足指だけではなく、甲、肘・膝といった関節まわりにも起こる場合があります。
痛風は、30〜40代の男性で発症が頻出します。ぶつけた記憶がないのに、足指関節まわりに身に覚えのない赤色や紫色のあざのような異変がある場合は、早めに受診するようにしてください。
適切な治療を受けて痛風発作が治れば、あざは自然に消失します。
脚の赤みや腫れ、熱感や痛み
皮膚とその下の組織に細菌が感染し炎症が起こると、赤みや腫れ、熱感や痛みの症状が急速に広がります。
皮膚の細菌感染症の中で比較的発症頻度が高い病気に、蜂窩織炎(ほうかしきえん)があります。
蜂窩織炎は膝から足のすねの部分にかけてよく発生します。合わせて発熱、悪寒、倦怠感などを伴う場合もありますので、異変に気付いたら早めに皮膚科を受診しましょう。
こちらの記事の監修医師
前田皮膚科クリニック前田 文彦 先生
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