最終更新日:2023.12.16 | 投稿日:2023.12.15

ドライアイの症状?目が乾く原因と治し方、目薬による対処法を解説

ドライアイの症状?目が乾く原因と治し方、目薬による対処法を解説

このページは目が乾きやすい・目がしょぼしょぼして痛みを感じるという方に向けて書いています。心当たりのある方は、ぜひご覧ください。

目が乾く、疲れやすいなどの症状が気になるときは「ドライアイ」が疑われます。パソコンやスマートフォンなどの普及、そしてコンタクトレンズ装用者の増加に伴い、ドライアイの症状に悩まされる人が増えているようです。現在、日本では約2,200万人いるといわれています。

本記事ではドライアイの診察をしている眼科医に監修していただき、ドライアイの症状と原因、放置することのリスクや対処法を解説しています。

ドライアイとは?

ドライアイとは、目を守るのに欠かせない涙の量が不足したり、涙の質の変化・異常によって眼球表面を潤す力が不足したりする状態のことです。目が乾燥してしょぼしょぼしたり、目を開けているのがつらくなるなどの目の不快感が起こります。

このような場合、単なる目の酷使による疲労と勘違いされがちですが、ドライアイは涙の量と質のバランスが崩れて、眼球表面へ均等に涙が行きわたらなくなる、いわば「涙が不安定になる病気」といえます。

ドライアイ研究会の最新の定義(2016年版)では、ドライアイは「様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり,眼不快感や視機能異常を生じ,眼表面の障害を伴うことがある」 とされています。

涙の役割

涙には、目の乾燥を防ぐ働きのほか、眼球の汚れや細菌、ウイルスなどを洗い流す殺菌作用、そして細菌の侵入を防ぐ役割があります。眼球に酸素と栄養分を運ぶのも涙によって行われます。

まばたきをすると目の表面には均一な涙の膜が作られます。この膜によって眼球の表面がなめらかに保たれているからこそ、網膜に鮮明な像を写すことができます。

ドライアイがひどくなると、これらの涙の働きが低下してしまい、蒸発しやすくなったり眼の表面が傷つきやすくなり、さまざまな症状の原因になります。 このように涙は目の健康を守り、視力を保つために欠かせない存在です。

ドライアイの症状

  • 目が乾きやすい
  • 目がゴロゴロする
  • 目が痛い、重い
  • 目がしょぼしょぼしてかすむ
  • 目が開けにくい
  • 目が疲れやすい
  • 目を使う作業が辛い
  • 光が異常にまぶしく感じる
  • 目が充血しやすい

このような症状が続いている場合、単なる目の酷使による疲労ではなく、ドライアイを疑います。

目が乾くドライアイの受診の目安

目の乾きが長引くと感じたら、一度眼科を受診して検査をしてみましょう。

ドライアイを放置しても失明などには至りませんが、目の表面を傷つけてしまうリスクが高く、それによって視力低下が起こる可能性があります。日常生活に支障をきたす前に、なるべく早めに受診してください。

ドライアイの原因をタイプ別に解説

ドライアイの原因は、涙の量と質の変化です。ではなぜ、涙の分泌量が不足したり、涙の質が変化してしまうのか、ドライアイのタイプ別に解説します。

ドライアイのタイプ

涙液分泌減少型 涙の分泌量が減少するタイプのドライアイです。主な原因は加齢や自律神経の乱れ、自己免疫疾患(シェーグレン症候群)などがあります。
涙液蒸発促進型 涙の蒸発量が増えるタイプのドライアイです。蒸発を防ぐ涙の油層を分泌するマイボーム腺の異常や、生活習慣・環境要因によって起こることがあります。
BUT短縮型 涙の量は十分であるものの、目の表面の涙の膜が途切れやすいタイプのドライアイです。ムチンのはたらきの低下によって、涙の質が不安定なために起こります。

涙の分泌量が不足するドライアイの原因

ドライアイを誘発する原因のひとつと考えられているのが、パソコンやスマートフォンの使用機会の増加です。画面を長時間見る生活習慣が当たり前になっている方は、ドライアイに悩んでいる傾向があります。

わたしたちは通常、3〜6秒間に1回程度はまばたきをして目の表面に涙を供給していますが、パソコンやスマホの画面を長時間見ていると、無意識的にまばたきの回数が減り、その間隔も長くなりがちです。すると十分な量の涙が分泌されにくい状況になります。さらに涙の蒸発が促されることで、目が乾きやすくなりドライアイにつながります。

また、

  • 加齢や性別
  • 緊張やストレス
  • 降圧薬などの薬
  • 生活環境
  • 自己免疫疾患

なども影響すると考えられています。

涙の質の変化

目の表面を覆っている涙液は、

  • 油層
  • 液層

という2つの層に分かれています。

外側にある油層には、涙の蒸発を防ぐはたらきがあります。内側の液層はムチンという成分が含まれた水分によって、涙を目の表面にとどまらせるはたらきがあります。

しかし、十分な涙の分泌量があっても、2つの層のバランスが不安定になると、目の表面に止まりにくくなり、眼の表面には涙で覆われていない場所「ドライスポット」が生成されます。

ドライスポットでは異物やまばたきによる刺激を眼の表面が直接受けてしまい、その影響を受けて目に不快な症状があらわれます。

ドライアイの検査診断

診察によってドライアイが疑われる場合、涙の量を調べるシルマーテストや、目の乾燥を調べるBUT検査などが行われます。

ドライアイの治療

ドライアイの治療は、目を乾燥させる要因を見つけ、それを取り除くことが大切です。

治療の基本となるのは点眼薬です。点眼薬で改善しない場合は、涙の排出口(涙点)に栓をして、流失を抑えるために「涙点プラグ」を挿入する方法があります。

ドライアイを改善する点眼薬

ドライアイのタイプにもよりますが、ほとんどの場合は点眼薬を使用することで症状は改善します。

ドライアイの治療として使われる主な点眼薬には、水分を補給したりムチンの分泌を促す人工涙液やジクアホソルナトリウム、水分をう補給して保水作用をもたらすヒアルロン酸ナトリウム、ムチンの分泌を促して目のゴロゴロ感などの深いな症状を改善するレバミピドなどがあります。

これらの点眼薬は、傷ついた角膜などを修復するのにも有効です。

ドライアイのタイプや程度によっても、使用する点眼薬が異なります。目の表面の炎症が強い場合は、それを抑えるためにステロイドを含む薬を使うこともあります。

ドライアイの予防と対策

ドライアイにならないようにするために、日常生活の見直しを図りましょう。

パソコンやスマートホンの使用

長時間続けて使用することは控え、使用中はなるべくまばたきの回数を増やすことを心がけましょう。目を使う作業時は、事前に点眼薬をさして、目を潤しておくと乾燥を軽減できます。

コンタクトレンズの使用

コンタクトレンズには保湿型のものがありますので、医師に相談しながら適切なコンタクトを処方してもらいましょう。疲れたときは眼鏡を使用することも大切です。

室内の乾燥

室内が乾燥しないように、加湿器等で保湿すると効果的です。とくにエアコンを使用する際には、風が直接目に当たらないように注意してください。

ドライアイに関するよくあるご質問

ドライアイは市販の目薬でも治りますか?

市販の目薬でも乾きの軽減はできますが、一度、眼科を受診して診断してもらうことをおすすめします。

ドライアイには、涙の量が少ない場合(量の問題)と、涙の安定性が悪い場合(質の問題)があると解説しました。涙の量は十分でも、安定性が足りないという方も入れば、涙の安定性はあっても量が少ないという方もいらっしゃいます。どちらも足りないという方も少なくありません。

眼科で適切な検査をすると、ご自身がどのタイプのドライアイなのかがわかります。目の状態に合わせて、保湿成分の入った目薬や粘液分泌を促す目薬、涙の質を整えるためにムチンが配合された目薬などが処方されます。また、涙をおおう脂を分泌する穴の詰まりを解消する根本的な治療が必要になることもあります。

市販の目薬が悪いという訳ではありませんが、自己判断でやみくもに市販の目薬をさすよりも、ご自身のドライアイのタイプを理解したうえで治療をしていく方が、より安全で効率よくドライアイを改善することができます。

シルマーテストとはなんですか?

涙の量を測る検査(シルマー試験)です。

涙の分泌量を調べる検査を、シルマーテスト(シルマー試験)といいます。主にドライアイを診断するための検査のひとつとして行われます。 シルマーテストは、細長い試験紙を下まぶたに挟み、5分ほどでどれほど試験紙に浸み込むかをみます。短時間で測定できるとても簡単な検査です。

これまでドライアイの診断をする際は、このシルマーテストとのほか、涙が乾き始めるまでの時間を調べるBUT検査(涙液層破壊時間 BUT)の2つが必須でした。しかし、最新のドライアイ診療ガイドラインではBUT検査によって涙が乾き始めるパターンを確認することで、診断ができるようになっています。

ドライアイ検査装置 idra(アイドラ)とはどのようなものですか?

ドライアイの程度や原因を詳しく解析できる検査装置です。

idra(アイドラ)はドライアイを詳しく解析できる比較的新しい測定機器です。

  • 涙の安定性
  • 涙の量
  • 脂の厚み
  • 脂を分泌する腺の異常
  • まばたきの適正具合 など

たった1台の機械で、以上のようなドライアイに関するさまざまな情報を得ることができます。

ドライアイにはいくつかのタイプがあるため、適切な治療法を選択するために重要な指標となります。

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こちらの記事の監修医師

横倉 俊二

長町よこくら眼科横倉 俊二 先生

宮城県仙台市太白区にある「長町よこくら眼科」、院長の横倉 俊二と申します。

私は東北大学病院に勤務し、角膜・結膜をはじめとする眼表面(オキュラ―サーフェス)疾患の治療・研究に長く携わって参りました。最先端の研究・治療に触れる機会が多く、充実した日々を過ごして参りましたが、病院の性質上、病気が進行した患者さんが紹介されてくるケースが非常に多く、病気の早期発見・早期治療の重要性を痛感させられる日々でもありました。

「自分がこれまで学んできた知識・技術を活かして、少しでも早く目の病気の発見・治療につなげることはできないだろうか。」と考えた結果、クリニック開院に至りました。

仙台で眼科のかかりつけ医をお探しの方は、ぜひ当院へご来院ください。何卒宜しくお願い申し上げます。

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