最終更新日:2024.11.27 | 投稿日:2024.11.27

アフターピル・緊急避妊薬とは?効果や副作用、飲んだ後の注意点を解説

アフターピル・緊急避妊薬とは?効果や副作用、飲んだ後の注意点を解説

アフターピル(緊急避妊薬)は、避妊に失敗した場合や避妊を行わずに性交渉をした後に使用する薬で、妊娠を防ぐための緊急的な方法です。

アフターピル は医師の処方箋が必要であり、一般の薬局では購入できませんが、2023年11月から一部の薬局で試験的に販売が開始されています。

本記事では婦人科医監修のもと、アフターピル(緊急避妊薬)とはどのような治療薬か?その効果や副作用、飲んだ後の注意点を解説しています。

アフターピル(緊急避妊薬)とは?

アフターピルの効果と服用のタイミングアフターピル(緊急避妊薬)は、避妊に失敗した場合や避妊を行わずに性交渉をした後に使用する薬で、妊娠を防ぐための緊急的な方法です。有効な手段ですが、体への負担や避妊成功率を考えると、常用するものではありません。緊急避妊を必要としないよう、日頃から確実な避妊方法を使用することが望ましいです。

また、服用後の体調変化や生理不順が続く場合は、必ず医師に相談してください。

アフターピルの正しい利用と日常的な避妊対策を心がけることで、健康的な生活を維持できます。

アフターピルを処方してもらう方法

アフターピルを確実に入手するには、以下の方法が確実です。

  1. 産婦人科で医師の診察を受け処方箋をもらう。
  2. オンラインクリニックで診療を受け、自宅に配送してもらう。

オンライン診療は、プライバシー保護や迅速な入手が可能な点で利点があります。必ず医師の指示に従って服用しなければならないという点では同様です。

アフターピルの効果と服用のタイミング

アフターピルの避妊効果は、服用するタイミングで異なります。まず、肝心な服用のタイミングについては、性交後72時間(3日以内)が推奨されています。特に24時間以内の服用で効果が最も高くなります。

正しいタイミングで服用すると、避妊成功率は約80~95%とされています。ただし、服用が遅れると効果が低下します。

  1. 排卵前:排卵を抑制するのが主な作用。 この段階での服用が最も高い避妊効果を示します。
  2. 排卵直後~受精期: 受精を妨げる作用が主に働きます。排卵直後は避妊効果が少し低下する場合があります。
  3. 受精後(着床前): 子宮内膜の状態を変化させることで着床を阻害します。この段階での効果は排卵前よりも低くなります。

アフターピルの作用の限界

アフターピルは排卵前後や受精直後の段階まで効果を発揮しますが、受精卵が着床してしまった後(妊娠成立後)には無効です。そのため、服用のタイミングが重要であり、できるだけ早く服用することで、最も効果的な避妊が期待できます。

 

アフターピルの利用についての注意

  1. 通常の避妊法としては使用しない
    緊急時の避妊手段であり、日常的な避妊法(低用量ピル、コンドーム)としての使用は避けるべきです。
  2. 血栓症リスク
    喫煙者や肥満体型、40歳以上の方は血栓症のリスクが高まる可能性があります。使用にあたって医師と相談してください。
  3. 繰り返し使用の負担
    繰り返し使用すると、ホルモンバランスの乱れや生理周期への影響が大きくなる可能性があります

アフターピルの種類と料金

日本で認可されている緊急避妊薬は主に以下の3種類です。

  1. ノルレボ錠1.5mg
  2. レボノルゲストレル錠1.5mg
  3. プラノバール配合錠

処方料金は医療機関によって異なりますが、一般的に6,000円~20,000円程度です。

ノルレボ錠1.5mg

最も一般的に使用されている緊急避妊薬です。 有効成分はレボノルゲストレルで、1錠を性交後72時間以内に服用します。ノルレボ錠(国内承認薬)の場合、8,000円~16,000円程度です。 

レボノルゲストレル錠1.5mg

ノルレボ錠のジェネリック医薬品です。 2019年に販売が開始され、ノルレボ錠と同様の効果が期待できます。ジェネリック医薬品のレボノルゲストレル錠は6,000円~11,000円程度です。

プラノバール配合錠

ヤッペ法と呼ばれる緊急避妊法に使用されます。 性交後72時間以内に2錠を服用し、12時間後にさらに2錠を服用します。

アフターピルの副作用、服用後の注意

アフターピルは体に一時的な負担をかけるため、いくつかの副作用が現れることがあります。

  • 吐き気・嘔吐(5%以上):服用後2時間以内に嘔吐した場合は、再服用が必要です。
  • 頭痛(約12%):軽度から中等度の症状が見られる場合があります。
  • 腹痛・下腹部痛(0.1~5%未満):ホルモンバランスの変化による一時的な痛みです。
  • 眠気・倦怠感(5%以上):一過性の疲労感を伴うことがあります。
  • 不正出血(約13.8%):生理とは異なる出血が起こる場合があります。
  • ホルモンバランスの影響:生理周期が前後にずれたり、肌荒れが発生することがあります。

服用後の注意点

  1. 避妊の継続
    :アフターピルの効果は一時的です。その後の性交では、他の避妊方法(コンドームなど)を使用してください。

  2. 生理の確認
    :服用後3週間以内に生理が来るのが一般的です。3週間を過ぎても生理が来ない場合は妊娠の可能性があるため、妊娠検査を受ける必要があります。

  3. 副作用への対処
    :吐き気を軽減するために食後に服用したり、吐き気止めを併用するとよいでしょう。嘔吐が早期に起きた場合は、医師に相談し再度の服用を検討してください。

  4. 薬の併用注意
    :一部の薬剤(肝酵素誘導薬など)は、アフターピルの効果を低下させる可能性があります。服用中の薬がある場合は、必ず医師に伝えましょう。

  5. 性感染症の予防
    :アフターピルは避妊のみを目的としており、性感染症の予防効果はありません。性感染症が心配な場合は医療機関で検査を受けましょう。

服用後の体調変化や生理不順が続く場合は、必ず医師に相談してください。

アフターピル(緊急避妊薬)の作用メカニズム

アフターピルは、以下のように多段階で妊娠を防ぎます:

  1. 排卵を抑えることで卵子の放出を防ぐ。
  2. 精子の進入や移動を妨げて受精を防ぐ。
  3. 子宮内膜の環境を変化させて受精卵の着床を阻害する。

服用するタイミングにより妊娠を防ぐ仕組みが変わるため、医師の指示通りに適切に服用することが大切です。

それぞれの作用を詳しく説明します。

排卵の抑制または遅延

アフターピルに含まれる黄体ホルモン(主成分はレボノルゲストレルやウリプリスタール酢酸エステル)は、脳下垂体に働きかけて排卵を指示するホルモン(LH:黄体形成ホルモン)の分泌を抑制します。

排卵は通常、月経周期の中間でLHの急激な上昇(LHサージ)によって引き起こされます。アフターピルを服用すると、LHサージが抑制または遅延され、卵胞から卵子が放出されるのを防ぎます。この作用により、精子が卵子に出会う前に排卵そのものを止めることが可能になります。

すでに排卵が起きた後では、この効果は発揮されません。そのため、できるだけ早く服用することが重要です。

受精の阻害

排卵が防げなかった場合でも、アフターピルは受精のプロセスそのものを阻害する働きがあります。精子が卵子に到達するためには、女性の生殖管内を移動し、卵管で卵子と結合する必要があります。アフターピルは子宮頸管粘液を変化させ、精子が子宮内に進入するのを難しくします(粘液が粘性を増し、精子の移動速度を低下させます)。精子が卵管に到達しても、アフターピルは卵管内の環境を変化させ、精子と卵子が出会い受精するのを妨げます。

受精卵の着床阻害

仮に排卵と受精が起きた場合でも、アフターピルは受精卵が子宮内膜に着床するのを防ぐ作用を持ちます。子宮内膜は、妊娠を維持するために受精卵が着床する場所ですが、アフターピルによってホルモン環境が変化すると、子宮内膜の厚みや構造が妊娠に適さない状態になります。これにより、受精卵が着床するのを物理的・生理的に妨げます。

受精卵がすでに着床した後にはアフターピルは効果を発揮しません。これは、アフターピルが妊娠の維持に必要なプロセス(既に成立した妊娠)を阻害する薬ではないためです。

アフターピルに関するよくあるご質問

アフターピルは薬局で購入できますか?

アフターピルは現在、限定的に一部の薬局で購入できる状況にあります。

2023年11月末から2025年3月末までの期間限定で、全国145か所の指定された薬局で試験的に販売されています。この試験販売は、アフターピルを処方箋なしで市販すべきかを判断するための調査研究の一環です。

購入条件と制限

  • 16歳以上であること(16~17歳の場合は保護者の同意が必要)
  • 本人確認のための身分証明書の提示が必要
  • 研究への参加同意と質問票への回答、服用後のアンケート回答が必要
  • 購入後はその場でアフターピルを服用する必要がある
  • 性交渉から72時間以上経過している場合や、重篤な肝障害がある場合などは購入できない

注意点

通常のドラッグストアや一般の薬局では販売されていません。試験販売を利用しようとした人の約85%が購入できなかったという調査結果があります。
※ 購入には事前に薬局への電話連絡が必要です。

アフターピルのオンライン処方(ネット購入)は危険ですか?

適切に利用すれば問題ありません。メリットとデメリットを理解して、利用しましょう。

アフターピルのオンライン処方には以下のようなメリットとデメリットがあります:

メリット

  • プライバシーが確保される:待合室や受付で他人と対面する必要がなく、身バレのリスクが低い。
  • 24時間対応:夜間や休日でも診療を受けられる。
  • 迅速な対応:一般的な対面診療と比べて待ち時間が少ない傾向にある。
  • 自宅で受診可能:自分の好きな場所で診察を受けられる。
  • 保険証不要:自由診療のため、保険証の提示が不要。

デメリット

  • 薬をすぐに受け取れない:最短でも翌日の受け取りとなる。
  • 緊急時の対応が難しい:重篤な症状が出た場合、すぐに対応できない。
  • 内診や検査ができない:症状を見落とす可能性がある。
  • 送料がかかる:薬の配送料として500円から700円程度必要。
  • ネット環境が必要:オンライン診察に集中できる静かな環境を自分で用意する必要がある。
  • 決済に時間がかかると薬の到着が遅れる:支払いに手間取ると、ピルが届くのが遅くなる可能性がある。

オンライン診療は便利ですが、緊急性や症状の重さによっては対面診療を選択するほうが適切な場合もあります。

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こちらの記事の監修医師

吉田 耕太郎

産科婦人科吉田医院吉田 耕太郎 先生

岩手県盛岡市にある産科婦人科吉田医院です。平成元年から父の後を継いで開業しました。勤務医時代は主に分娩に関わる周産期センターで研鑽して来ました。年間2000件を越す分娩に関わって来ましたが、分娩チームで協力して来た事です。開業してからは一人で関わる訳ですので妊婦さんが良くない状態にならない様に妊娠初期から食生活を含め指導しております。お産に関してはすべての方が正常に分娩できるようご協力するなど、患者様と相談しながら対処しております。婦人科疾患に関しては手術が必要な場合、速やかに総合病院のご紹介もしています。

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