最終更新日:2024.11.27 | 投稿日:2024.11.27

ブライダルチェックとは?女性の検査内容と費用、保険適用の有無を解説

ブライダルチェックとは?女性の検査内容と費用、保険適用の有無を解説

ブライダルチェックとは、妊娠や出産を将来的に考えている女性が、自分の健康状態を総合的に確認するための婦人科検診です。

ブライダルチェックによって妊娠・出産に影響を与える可能性のある疾患や体の異常を早期に発見し、必要に応じた治療や予防を行うことで、結婚などのライフイベントを安心して迎えることができます。

本記事では婦人科医監修のもと、ブライダルチェックで行う検査内容と費用、保険適用となるのかを解説しています。

ブライダルチェックとは?

ブライダルチェックとは?医師が解説ブライダルチェックとは、将来の妊娠や出産を考えている女性が、自分の健康状態を総合的に確認するための婦人科検診です。

妊娠や出産に影響する疾患の有無を事前に確認しておくことで、妊娠や出産時のリスクを軽減できます。例えば、子宮筋腫・卵巣のう腫などの子宮・卵巣の病気、クラミジアや梅毒といった性感染症などがあげられます。

子宮頸がんや性感染症などは、初期の段階では自覚症状がありません。しかし、検診を受けることで早期発見が可能になり、初期段階で治療を行うことで健康リスクを抑えられます。

さらに、ホルモンバランスや卵巣の状態をチェックすることで、自分が妊娠しやすい時期や適切な妊活のタイミングを知ることができます。例えば、ホルモン値や卵巣機能を確認することで、妊娠計画を具体的に立てる助けとなります。

このように妊娠や出産に影響を与える可能性のある疾患や異常を早期に発見し、必要に応じて治療や予防を行うことができるブライダルチェックは、結婚や妊娠・出産をスムーズに進めるための準備段階として欠かせない検査です。「異常がないことを確認する安心感」を得るだけでなく、もし問題が見つかった場合にも早期に対処できます。

人生における重要なライフイベントに向けた第一歩として、ぜひ受診をご検討ください。

ブライダルチェックの受診のタイミングは?

年齢に関係なく、妊活前に一度受診することで、自身のリスクを把握し適切な準備を始めることができます。また、月経不順がある場合は排卵やホルモンバランスの異常が妊娠に影響を与えることがあるため、早めの受診を推奨します。

パートナー変更後も、検査を受けるタイミングとしては適切です。新たな性感染症のリスクを避けるため、確認が必要です。

ブライダルチェック、女性の検査内容

ブライダルチェック、女性の検査内容ブライダルチェックでは、以下のような検査が一般的に行われます。

  1. 血液検査(貧血検査、感染症検査など)
  2. 子宮頸がん検診
  3. 超音波検査(子宮・卵巣の状態確認)
  4. 性感染症検査
  5. ホルモン検査

いずれの検査も妊娠・出産に向けた身体の準備状況を詳細に評価し、リスクがある場合には早期に対応するために重要です。安心して妊娠に臨むために、ぜひ一度検査を受けることをおすすめします。

血液検査(貧血検査、感染症検査など)

妊娠中に貧血が悪化すると、胎児への酸素供給が不足し、流産や早産のリスクが高まるため、貧血検査によって事前にヘモグロビン値や鉄分量を確認します。

  • ヘモグロビン値
    :貧血の有無を確認。低値の場合、鉄剤や食事療法が必要です。
  • 血清フェリチン
    :体内の鉄分貯蔵量を測定。隠れ貧血の発見に役立ちます。

また、感染症検査もとても大切です。特に妊娠中に感染すると、母体だけでなく胎児にも深刻な影響を与える感染症について確認することが重要です。

  • 風疹抗体検査
    :妊娠中の風疹感染は胎児奇形のリスクを伴うため、抗体が不十分な場合は事前にワクチン接種が推奨されます。接種後2か月間は避妊が必要です。
  • B型肝炎・C型肝炎
    :母子感染の可能性があるため、感染の有無を確認します。陽性の場合は出産時に感染予防処置が必要です。
  • 梅毒検査
    :妊娠中の感染は流産や胎児感染につながるため、血液検査で早期発見し、治療します。
  • トキソプラズマ
    :感染歴を確認し、胎児への感染リスクを評価します。

子宮頸がん検診

子宮頸がんは20~30代の若い世代でも発症しやすい病気です。初期段階では自覚症状がないため、無症状のうちに進行してしまうことが少なくありません。そのため、妊娠を考え始めた段階で検診を受けることがとても重要です。

まずは細胞診(Papテスト)を行います。子宮頸部の細胞を採取し、がんやその前段階である異常細胞がないかを調べます。

さらに子宮頸がんの主な原因である高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染の有無を確認します。この検査で、将来的ながんのリスクを評価します。

異常があった場合は、コルポスコピー(拡大鏡で観察)や組織診を追加して詳細に調べます。軽度異常は経過観察、重度異常は早期治療が推奨されます。

超音波検査(子宮・卵巣の状態確認)

超音波検査では、妊娠に影響を与える可能性のある子宮や卵巣の疾患を早期に発見します。

主な疾患は以下の通りです。

  • 子宮筋腫:妊娠の妨げになる位置に筋腫がある場合、手術の検討が必要です。
  • 子宮腺筋症:子宮内膜が筋層に侵入する疾患で、妊娠の難易度が上がるため早期発見が重要です。
  • 卵巣のう腫:良性のことが多いですが、大きな腫瘍や悪性の可能性がある場合は治療が必要です。
  • チョコレート嚢腫(子宮内膜症性嚢胞):妊娠を妨げる可能性があり、症状に応じて治療が必要です。
  • 子宮奇形:双角子宮や中隔子宮などの形態異常が見つかった場合、流産や早産リスクに備える対応が検討されます。 

性感染症検査(性病検査)

妊娠に悪影響を及ぼす性感染症を早期発見し、適切に治療することを目的とします。

主な性感染症は以下の通りです。

  • クラミジア感染症
    :不妊や子宮外妊娠の原因となるため、尿検査や子宮頸部の分泌物検査で確認します。治療は抗生物質で行います。
  • 淋菌感染症
    :クラミジアと同様、不妊や流産のリスクがあり、抗生物質の投与が必要です。
  • 梅毒
    :血液検査で確認し、陽性の場合はペニシリン治療を行います。

 

ホルモン検査

妊娠に必要なホルモンバランスや卵巣機能を評価し、妊娠のしやすさを把握するための指標を得ることを目的とします。主な検査項目は以下の通りです。

  • 卵胞刺激ホルモン(FSH)
    :卵巣の予備能を調べます。高値の場合、卵巣機能が低下している可能性があります。
  • 黄体形成ホルモン(LH)
    :排卵が正常に起こっているかを確認します。高値は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の疑いがあります。
  • 抗ミュラー管ホルモン(AMH)
    卵巣に残っている卵子の数を推測し、妊娠可能期間の目安を知ることができます。
  • プロラクチン
    :高プロラクチン血症は排卵障害の原因となり、不妊のリスクが高まるため、異常値の場合は薬物療法を行います。
  • 甲状腺ホルモン
    :甲状腺機能異常(甲状腺機能低下症や亢進症)は妊娠の成立や維持に影響を与えるため、ホルモン値を測定します。

ブライダルチェックは保険適用になる?気になる費用

ブライダルチェックは保険適用になる?気になる費用ブライダルチェックの費用は、健康保険の適用対象外となります。

ブライダルチェックは、病気やケガの治療を目的とした医療行為ではありません。健康状態の確認を目的とした検査であり、健康診断や人間ドックと同様の位置づけです。すでに病気があることがわかっている方や、症状を持つ方を対象にした検査でない場合は、保険適用外となります。

検査の費用

ブライダルチェックは自由診療となるため、費用は全額自己負担となります。

一般的な費用の目安は、1人あたり30,000円〜50,000円程度です。医療機関や検査内容によって費用は異なりますので、検査を受ける前に事前に確認しましょう。

ブライダルチェックのよくあるご質問

ブライダルチェックと不妊検査の違いは?

ブライダルチェックと不妊検査には、目的や対象者、検査内容に違いがあります。

ブライダルチェックは一般的な健康状態と妊娠に影響を与える可能性のある要因を広く検査します。一方、不妊検査はより詳細で専門的な検査を行います。ブライダルチェックは妊娠のしやすさを調べる検査であるのに対し、不妊検査は妊活を1年以上続けても妊娠できないカップルを対象に、不妊の原因を詳しく調べるための検査です。

両者の検査は互いに補完的な関係にあり、ブライダルチェックで異常が見つかった場合や、妊娠を希望してから時間が経過している場合は、不妊検査へ移行することもあります。

ブライダルチェックは助成金を受けられる?

お住まいの自治体によっては助成金を受けられる場合があります。

ブライダルチェックは保険適用となりませんが、お住まいの自治体によっては助成金を受けられる場合があります。

  • 助成額は30,000円〜50,000円程度の場合があります。
  • 助成を受けるには、事実婚の状態や妻の年齢制限などの条件がある場合があります。

市区町村によって助成金制度が異なりますので、お住まいの自治体に直接問い合わせて、最新の情報を確認することをおすすめします。

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こちらの記事の監修医師

吉田 耕太郎

産科婦人科吉田医院吉田 耕太郎 先生

岩手県盛岡市にある産科婦人科吉田医院です。平成元年から父の後を継いで開業しました。勤務医時代は主に分娩に関わる周産期センターで研鑽して来ました。年間2000件を越す分娩に関わって来ましたが、分娩チームで協力して来た事です。開業してからは一人で関わる訳ですので妊婦さんが良くない状態にならない様に妊娠初期から食生活を含め指導しております。お産に関してはすべての方が正常に分娩できるようご協力するなど、患者様と相談しながら対処しております。婦人科疾患に関しては手術が必要な場合、速やかに総合病院のご紹介もしています。

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