自毛植毛は後悔する?植毛した10年後の状態、治療法を解説
自毛植毛は後悔するのではないか?と不安に思う方は多いのではないでしょうか。
現在は医療技術が進歩し、自毛植毛はこれまで以上に薄毛・抜け毛でお困りの患者さんに多くのメリットをもたらしています。単に髪の毛を増やすということだけではなく、既存の髪との生え癖を考慮し、全体のバランスを調整しながら行うことで、仕上がりは非常に自然になってきています。さらに、薄毛の方だけでなく、瘢痕性脱毛症など特殊なケースにも対応可能なクリニックもあり、適用範囲が広がっています。
初期費用は高めですが、移植した毛髪は半永久的に成長し続けるため、定期的なメンテナンスが不要で、長期的には他の治療法と比べてコスト効果が高い点も魅力です。
本記事では皮膚科の専門医監修のもと、自毛植毛の治療法(FUT法、FUE法、ニードル法)の解説しています。手術した10年後も大丈夫か?など、患者さんが気になるポイントも紹介していますので、ぜひご覧ください。進化した自毛植毛で、より安心・安全に薄毛のお悩みを解消しましょう。
自毛植毛とは
自毛植毛とは、薄毛や脱毛に悩む方の頭皮に、自分自身の健康な毛髪を移植する治療法です。通常、後頭部や側頭部などの「ドナー部位」と呼ばれるAGA(男性型脱毛症)の影響を受けにくい部分の髪の毛を採取し、薄毛部分に移植します。
自毛植毛は拒絶反応のリスクが低く、移植した髪が通常の髪のように成長し続けるため、自然な見た目を保ちやすい点が挙げられます。ただし、効果が完全に現れるまでには時間がかかるため、専門医との十分な相談と適切なケアが大切です。
この治療法には、
- 後頭部の頭皮を切り取って毛包を一度に採取する「FUT法」
- パンチで毛包を一つずつ採取する「FUE法」
- 細い針を使って穴あけと植毛を同時に行う「ニードル法」
などがあります。
自毛植毛は後悔する?10年後も大丈夫?
自毛植毛は多くの場合効果的な治療法ですが、一部の患者さんが後悔するケースもあります。
後悔しないために以下の点に注意することが重要です。
- クリニック選びが重要
– 実績が豊富で、カウンセリングに力を入れているクリニックを選ぶ
– 費用だけでなく、医師の技術や経験も重視する - 事前の十分な理解と準備
– 植毛後のイメージや効果、副作用について正しく理解する
– 疑問点や不安は事前に解消しておく - 仕上がりへの現実的な期待
– 完璧な結果を期待しすぎない
– 効果が現れるまで時間がかかることを理解する - 術後のケアと経過観察
– 医師の指示に従い、適切な術後ケアを行う
– 一時的な症状に過度に不安を感じない - 長期的な視点を持つ
– 効果が現れるまで1年程度かかることを理解する
– 維持のための継続的なケアの必要性を認識する
後悔するケースの多くは、期待と現実のギャップや、事前の理解不足から生じています。十分な情報収集と専門医との綿密な相談を行い、自分に適した治療法かどうかを慎重に判断することが重要です。
適切に行われた自毛植毛は、多くの患者さんにとって満足度の高い治療法となっています。
植毛治療から10年後の経過
経験豊富な医師による植毛と、適切なケアを行うことで、多くの患者さんが10年経っても満足のいく結果を維持できています。
移植した毛髪の持続性 移植に使用される後頭部や側頭部の毛髪は、男性型脱毛症(AGA)の影響を受けにくいため、10年後も生え続けることが可能です。この特性により、長期間にわたって自然な状態が保たれます。
また、植毛が適切に行われていれば、移植した部分は10年後も自然な見た目を保つことができます。ただし、植毛していない既存の毛髪が薄くなってしまうこともあり、この場合は全体の見た目に影響が出る可能性があります。移植した毛髪自体は特別なメンテナンスを必要としませんが、植毛していない部分の毛髪が薄くならないようにするため、薬物療法(内服薬や外用薬)を続けるのが望ましいとされています。
10年後も自然な見た目を保つために、薄毛の進行状況に応じて追加の植毛や治療が必要になる場合があります。既存の毛髪の状態や年齢によって、追加治療を検討するケースもあります。そのため、長期的な満足度を維持するためには事前のカウンセリングと施術計画がしっかり立てられていることが重要です。
植毛に限ったことではありませんが、効果には個人差があるため、体質や生活習慣などによっても結果は異なります。植毛後も継続的なケアや定期的なチェックが推奨されるため、専門医との相談を続けることが大切です。
総合的に、自毛植毛は長期的な効果が期待できる治療法ですが、既存の毛髪のケアも含めた総合的なアプローチを取ることで、10年後も良好な状態を保つことが可能です。
自毛植毛をおすすめする方
自毛植毛は以下のような特徴を持つ方におすすめです。ただし、個人の状況によって適応は異なるため、専門医との詳細な相談が重要です。
後頭部に十分なドナー毛髪がある方
移植に使用できる健康な毛髪が後頭部に十分量ある方が適しています。
長期的な結果を求める方
効果が現れるまで1年程度かかるため、短期的な結果を求めない方に向いています。
AGAの薬物治療で効果が見られなかった方
特に30代から50代の男性で、薬物治療で満足な効果が得られなかった方に適しています。
自然な仕上がりを求める方
自分の毛髪を使用するため、自然な見た目を重視する方に適しています。
前髪や生え際の薄毛に悩む方
特に前髪部分の薄毛治療に効果的とされています。
定期的なメンテナンスを避けたい方
移植後は定期的なメンテナンスが不要なため、長期的な手間を避けたい方に向いています。
薬の副作用を心配する方
自毛を使用するため、薬による副作用のリスクがなく、安心して受けられます。
持病がない方
心臓病、腎不全、肝不全、糖尿病などの重大な持病がない方が望ましいです。
自毛植毛の治療方法
自毛植毛には、主に「FUT法」「FUE法」「ニードル法」の3つの方法があり、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。患者さんの薄毛の進行度や希望する仕上がりにより、どの方法が適しているかは異なります。例えば広範囲の植毛が必要な場合はFUT法、自然な仕上がりを重視する場合はFUE法やニードル法が適している傾向にあります。
最適な方法を選ぶには、経験豊富な医師と相談し、自分の頭髪の状態や生活スタイル、希望する結果をしっかりと伝えることが大切です。それにより、リスクとメリットを理解した上での決断が可能です。
FUT法の特徴とメリット
FUT法 (Follicular Unit Transplantation) は、後頭部の頭皮を帯状に切り取り、その皮膚からグラフト(毛包単位)を採取する方法です。通常、この帯状の皮膚を顕微鏡で観察しながら細かく分割して毛包単位に分け、必要な部位に植え込んでいきます。1度の手術で数千単位のグラフトを採取できるため、広範囲の植毛が可能です。また、帯状に切り取るため、毛包を切断するリスクが低く、より高い定着率が期待できます。そのため、薄毛の進行が顕著な患者さんや広範囲の植毛を希望する患者さんに向いています。
FUT法のデメリット
頭皮を切り取るため、後頭部に線状の瘢痕が残ります。瘢痕が目立たないように縫合技術が向上していますが、短髪にすると目立つ可能性があります。 また、手術後の痛みが強めで、回復に時間がかかる傾向があります。術後の痛み止めなどで対処しますが、長期間にわたり違和感が残る場合があります。
FUE法の特徴とメリット
FUE法 (Follicular Unit Extraction) では、専用のパンチを用いて、後頭部のドナー部位から1つずつ毛包単位でグラフトを採取します。FUT法のように皮膚を帯状に切り取らないため、採取の際の傷跡が小さく、短髪でも目立ちにくいのが特徴です。 また、FUT法と比べて術後の痛みが少なく、回復も比較的早いため、術後のダウンタイムが少ないです。ドナー部位を広く取ることで、より密度のある移植が可能になります。
FUE法のデメリット
1つずつ採取するため、大量のグラフトを必要とする広範囲の植毛には時間と手間がかかり、不向きです。 また大量に採取する場合は時間がかかりやすく、施術者の技術と集中力が重要です。
ニードル法の特徴とメリット
ニードル法 (単一植毛法、Choi式)は細い専用の植毛針を使用し、針で穴を開けながら同時に植毛する技術です。植毛する箇所に直接針を差し込むため、穴あけと植毛が同時に行えるのが特徴です。1本1本の植毛で細かい調整が可能なため、生え際や分け目などのデリケートな箇所に自然な仕上がりが期待できます。 植毛針が非常に細いため、術後の見た目が自然であり、違和感を感じにくいです。 また、細部まで調整可能であるため、額の形に沿った自然な植毛ラインを再現するのに向いています。
ニードル法のデメリット
針のサイズによっては、細い毛しか植毛できない場合があります。そのため、太い毛を使いたい部位には適していない可能性があります。また、密度を高くしようとすると1回の手術では限界があり、再度手術が必要になる場合があります。
ニードル法は1本ずつ丁寧に植毛するため、施術にかかる費用が高額になる傾向にあります。
こちらの記事の監修医師
前田皮膚科クリニック前田 文彦 先生
© ヨクミテ|医師監修の医療メディア, Inc. All Rights Reserved.